タピオカ
友達の
タピオカって言葉を見ると、なんだか懐かしさが込み上げてきた。恭子の方を見ると、私と同じく懐かしさにふけっているように遠くを見るような目でタピオカ屋さんを眺めていた。
「飛鳥、久しぶりにタピオカ飲みたくない?」
「私も今、それ思ってたところ!」
私と恭子は、タピオカ屋さんの方へと向かった。
当時の人気絶頂のころは外まで長蛇の列が出来ていたけれども、その時と比べると空いている。出来たばかりのお店で、外壁や看板が綺麗に輝いて見えた。懐かしいけど、新しい、なんだか不思議な気分を感じた。
中へ入ってみると、中華を思わせる赤い提灯がいくつも垂れ下がっていた。それによって店内も赤く彩られている。ちょっとしたテーブル席も用意されており、そちらについても上面が赤く彩られていた。
店員さんはチャイナ服のような制服を着ている。髪の毛もぴっちりと後ろで結んでおり、中華な雰囲気を感じた。
「なんだか、本格的だね」
「私の知ってるタピオカ屋さんじゃないや。本場って感じ!」
店の中には多少の列があったため、私たちは並んだ。何を買おうかと、レジ上のメニューを眺めているのだが、そこには見慣れない漢字が並んでいた。
『珍珠奶茶』
『波霸奶茶』
『木瓜牛奶』
『百香多多』
……
「なんだか、漢字いっぱいだね……。どれがなんなんだろ?」
「本格的過ぎてびっくりだね。これは、困った……」
列の前の方で注文していく人達も、眉をひそめて店員さんに説明してもらうようにお願いしていた。
「これは、中々レベルの高いタピオカ屋さんだね、私一番売れてるのって言って買おうかな!」
「じゃあ、私は二番目のやつにしよう!」
列はゆっくり進んでいき、私たちの買う番になると話し合っていた通り一番目に売れてる商品と、二番に売れてる商品を買った。
すんなり買えたけれども、私たちがミーハーなのがバレバレだなと、少し恥ずかしい気もした。
「せっかくだから、ここで飲んでいこうか? この雰囲気、気分上がらない?」
「確かにそう思う! なんだか中国に旅行しに来たみたいだよね!」
レジ前でそんな話をしていると、店員さんからは「中国じゃなくて、台湾ね?」と窘められたが、そう言われても、私たちはいまいちよく分からないままだった。
とりあえず席に着いて、タピオカティーに太いストローを刺した。久しぶりに見る太いストローにも、なんだか感慨深かった。
私と飛鳥は、二人で分け合って飲んだ。
「いやー、やっぱりタピオカは美味しいね!」
「うんうん、タピオカはいいね! 私大好き!」
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