りんご飴
学校帰りに横浜駅まで歩く。
横浜駅から坂を登ったところにあるうちの高校。大きい駅が最寄り駅なのは嬉しいところだけれども、その最寄り駅までの道のりがすごく遠い。
登校の道は、ちょっとした山登り感覚で、逆に下校の道は山を下るような感覚でスイスイと進む。勉学という仕事を終えて家路に向かうこともあり、足取りも軽い。
坂を下り切り、横浜駅へと通じる繁華街を通ると、りんご飴専門店というお店ができているのを見つけた。
りんご飴と言ったら、夜店の屋台で売られているようなものだと思ったけれども、その専門店なんていうものがあるなんて初めて知った。
聞きなれない店であったため怪しい気もするが、初めて見る店はとても綺麗でキョロキョロと眺めていた。
すると、聞き慣れた声が聞こえて来た。
「ごっちゃーん! こっちこっち!」
声の方を見ると、凛ちゃんがりんご飴専門店に並んでいた。かなり長い列の後ろの方に、ちょこんと一人で並んでいた。
「良かったら一緒に食べて見ない? 勢いで並んでみたんだけれども、寂しくてさー?」
可愛く肩を落とす凛ちゃん。
私も帰ったところで用事も無いから、凛ちゃんのところへ行って一緒に並ぶことにした。
「ここ、雑誌で見たことあるよ! 最近流行っていて、全国に30店舗も展開しているらしいんだって!」
「ふーん。そうなんだ」
あらためて並んでいる人たちを見ると、ほとんどが女性で綺麗な人たちが多い印象だった。
私の返事は気の無いものに聞こえてしまったのか、凛ちゃんがもう少し詳しく教えてくれた。
「このお店『代官山Candyapple』はね、2020年に代官山にオープンしたのが最初でね。そこからSNSでバズって、一気に広がったんだよ! 見たことない?」
「私、SNSとかやらないからなー」
凛ちゃんは眉をしかめると、すぐにスマホで検索してSNSの画面を見せてくれた。
「ほら! これすっごく綺麗じゃない?」
見せてくれた画面には、真っ赤なリンゴに飴がテカテカコーティングしてあるものだった。光っている姿は宝石のような輝きがあると言っても過言ではないくらい。
そのほかにも、色が違うリンゴ飴という物があった。グリーンアップルに対して飴をコーティングしてテカテカに光らせているものもあったり、リンゴの表面に大きめのザラメが散りばめたもの、紅茶パウダーがかかったオレンジ色のりんご飴や、抹茶パウダーがかかった緑色のりんご飴もあった。
凛ちゃんは、りんご飴に負けないくらい目をキラキラさせて、こちらに聞いてくる。
「りんご飴って美味しそうだよね。どれもこれも、全部食べたくなってきちゃうよね。二つ買って分け合いっこしよう! 私、りんご飴大好きなんだ!」
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