ヘアオイル
学校帰りに、量販店の中にある化粧品コーナーに寄る。秋になってきたので、手荒れする前にハンドクリームを買おうと友達の
昨年は、ハンドクリームを使い始める時期が遅くて、ささくれがいっぱい出来てしまった。だから、今年は早めに買おうとしているのだ。
お店の中には、ずらりと商品が並んでいる。品揃えがとても良い。商品の前に、それぞれ試供品が出ていたので、沙也加と試してみる。
金木犀の匂いと書かれたハンドクリームを少し手に出してみる。
「あ、この匂いいいね。秋っぽい」
「確かに良い匂い」
私の手に、沙也加は鼻を近づける。くんくんと嗅いで、ニッコリ微笑んだ。
「それも良いけど、せっかくなら、そっちのハンドクリームも試してみようよ」
「確かに、それも手が潤いそうだね。試してみよう」
そうやって何個もハンドクリームを塗ってみて、嗅いでを繰り返していた。
そして、私と沙也加の二人とも気に入った匂いのものを買った。
◇
「やっぱり、ガチの化粧品メーカーのやつは、違うね。テスターで使っただけなのに、すごい手が潤ってるよ」
「さっきのは良いやつだったよねー。見つけられて良かったね!」
用事が済んだので帰ろうとして店を歩いていると、どこからともなく良い匂いが香ってきた。先ほど付けたハンドクリームにも負けずとも劣らず、良い匂いだ。
「良い匂いがする……。ここってなんのコーナー?」
「ここは、ヘアオイルコーナーだね! 良い匂いだよね」
「ヘアオイル? そういうのもあるんだ?」
「あれ、遠子知らないの? 私使ってるよ。だから、ほら。髪サラサラでしよ?」
沙也加の長い黒髪。
確かに、いつもサラサラしているのが気になっていたけれども。手入れする時に、ヘアオイルっていうのを使っているのか。そういう、毎日の手入れが大事なのかもしれない。
「
「確かに、枝毛とか多いかも……。気遣ったら、そんなに髪の毛サラサラになるの?」
「そうそう。私も昔は、遠子みたいに髪の毛絡まって大変だったんだけどね。ヘアオイルを使ってから、サラサラ中身を手に入れたんだ!」
「本当? 私にも教えて欲しい!」
沙也加は頷いてくれた。
「うんとね、どれだっけなー? 私も何個も使ってみて選んだんだよね。人によって髪質とか違うから、遠子も自分用のやつ試してみた方が良いかも」
「なるほど。あっ、ヘアオイルお試しできるんだ。これ、匂いが良いよ」
私がつけてみると、沙也加は私の髪をクンクンと嗅いでくれた。
「良い匂い!」
「うん。これ試してみようかな? ハンドクリームの匂いも良かったけど、髪から香る匂いもいいね。ヘアオイル好きかも!」
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