デコる

 先週末、新しいスマホを手に入れた。

 眺めているだけで、心が躍る気がする。

 それはまるで新しい冒険が始まるような気分。最新機能が充実していて、使うたびにワクワクする。


 スマホを眺めていると、ふと友達にスマホカバーのことを指摘された。


「ねぇ、まだそのカバー使ってるの?」



 友達の理沙が言った。理沙はいつもファッションや小物に詳しくて、最新のトレンドをいつもチェックしている。


「前のお気に入りだったし、サイズが同じだから使い続けてるんだ」

「けど、それ古いよ」


「確かに、おさがりだけれども、1、2年前に買ったものって古いの?」

「古いよ。やっぱり、最新機種を買ったなら、最新のスマホカバーが良いでしょ!」


 理沙が提案したが、私は首を振った。


「買いたい気持ちもあるけど、お小遣いもピンチだからなー……」

「そうしたら、デコレーションするのはどう? わたし、デコるの上手いよ」


 そう言いながら、理沙は嬉しそうに目を輝かせた。


 ◇



 次の日、理沙の家でスマホカバーを持ち寄り、デコレーションを始めた。彼女の部屋はいつもきれいで整っていて、デコレーション用の小物やネイルアートの道具がたくさん並んでいた。私は少し緊張しながらも、理沙の器用な手つきに見とれていた。


「まずは、ベースを塗るよ」


 理沙は説明しながら、ネイルアートのように慎重にスマホカバーに色を塗り始めた。その手際の良さに感心しながら、私も少しずつ手伝ってみた。色を選ぶのも、飾り付けの配置を考えるのも楽しかった。


「私、毎日ネイルを変えるくらい、飽きっぽいんだけどね」


 理沙は笑いながら言った。その笑顔には、本当に楽しんでいる様子が伺えた。


「でも、それが楽しいんだ!」



 少しずつ、カバーが鮮やかで個性的な作品に変わっていった。その過程で、理沙との会話も弾み、彼女の好きな音楽や映画の話に花を咲かせた。


「デコるのって、気分転換になるし、自分らしさを表現できるんだよね」


 理沙の言葉に、私は深くうなずいた。確かに、何かを自分の手で作り上げる喜びは、言葉にできない特別なものがある。それが、理沙のデコレーションに対する情熱の源なのだろう。


 完成したスマホカバーを手に取り、私はその美しさに見とれた。それはただのカバーではなく、私と理沙の思い出が詰まった作品だった。


「ありがとう、理沙。これ、本当に素敵だよ」


「どういたしまして」


 理沙は微笑みながら答えた。


「デコるって良いよね。やるのもだけど、出来上がったのを見るのでも気分上がるからね! デコるのって好きなんだ!」

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