ブラインドタッチ
情報教育の授業がある。スマホで個人情報を出すことがどんなに危険なことかとか、嘘を嘘とわからないで拡散してしまうことの危険性なんかを学んだりする授業。現代においては必須教育だと思う。
今日の情報教育の授業は、パソコンルームでパソコンを操作することになった。現代の仕事では、パソコンを使うことがほとんどらしい。医療現場でも全部電子で情報が管理されているし、他も全部そうらしい。
パソコンは必須科目だ。
パソコンルームにも教卓があり、そこから先生が生徒に対して説明をする。
「パソコンでは、文字入力はキーボードを使ってやる」
先生はそう言うと、デモンストレーションを見せてくれた。
カタカタと打ったら、画面に文字がどんどん表示されていく。
なんだか、魔法みたいな感じだよね。ノートに文字を書いているよりも早いし字は綺麗だし。現代文明ってすごいな。
先生が操作を見せてくれる一方で、ひそひそと話し声が聞こえる。
「スマホのフリック入力の方が早くて便利じゃない? スマホって、片手てできるんだよ」
「それは確かに思うね。なんで、両手でやらなきゃいけないんだろうね?」
その話し声が、先生の耳に届いたようだが、先生は説明を続けた。
「入力方法の歴史は、色々とあるからな。音声入力なんていうのも今はあるし、キー求ード入力っていうのも古いのかもしれないな」
先生は、淡々と続けた。
「ただ、スマホも進化と言えば進化だけれども、片手よりも両手で入力の方が早かったりするものだぞ? 試しにキーボードで入力してみたらいいぞ」
先生は、カタカタキーボードを叩いて、自分がしゃべった言葉を入力していった。すごく早い入力をしている。確かにスマホよりも早いかもしれない。
「そうしたら、授業の一環として、この中で入力が早い人を決めよう。一番早かったやつには点数をやるぞー」
少しだけキーボードの良さが分かってきたかもしれない。
慣れないけれども、点数をくれるなら頑張ってみようかな。
「それでは、入力速度測定ソフトを起動してー」
部屋中が静かになって、ピリッとした空気になった。
周りの様子を見て先生は掛け声をかける。
「よーい、スタート!」
カタカタとキーボードの音が教室中に響きだした。
その中でも一番激しい音を鳴らしていたのんが、両方君。
みんながキーボードを見ながら一生懸命叩いているところを、両方君だけは画面だけを見つめてキーボードを叩いていた。
ブラインドタッチっていうやつだ……。
ちょっと、カッコいいかも……。
なんか、好きかも。
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