グーグル先生
秋は涼しくて、何をやるにしても捗る時期。
食欲の秋とか、スポーツの秋とかいろいろあるけれども、勉強の秋っていうのもあるのかな?
彼氏と一緒に図書館に勉強市に来てみたのだけれども、いつもは捗らない勉強でさえ捗る気がする。
秋のおかげなのか、それとも彼と一緒に勉強しているからかな。ふふ。
わからないところは、隣で勉強している
「ここって、どういうことかわかる?」
「そこはさっき教えたじゃん? 図書館なんだから自分で調べてみるのも大事かもよ?」
さっきまで優しく答えてくれていたけれども、自分の勉強に集中しだしたのか、そっけない態度になっていた。
そういう時、私はすぐに引き下がる。
「そうだよね。ごめんね」
彰人は、顔も上げないでノートに向かってカリカリと勉強している。
なんだか冷たい気がするなー。勉強しているからだろうけれども、もう少しかまってくれても良いのにな。
そっちの方が、私は捗るのに。
勉強も一時間も進めると、疲れてくるもので雑談でもしながら勉強をしようと彰人に話題を振ってみた。
「今日の金曜ロードショーって何やるんだっけ? また電話しながら一緒に見よう?」
「はっ? 何をやるかって、自分でググれば良くない?」
彰人はノートの上に数式を一生懸命書きながら答えてきた。
ちょうど数学の問題を解いているのかな?
それにしても、なんか冷たすぎないかな。
上から目線っぽいし。カチンとくる言い方だな……。
これは、喧嘩を売られたと思っていいんだよね。
それなら私にも考えがあるんだからね。
彰人の手が止まるあたりを見計らって、また声をかけてみる。
「別に、聞いても良いじゃん。彰人って映画詳しいじゃん?」
「だから、聞く前に自分で調べられるだろって言ってるの!」
タイミングがばっちりあったようで、今度はノートから目を離して、こちらを見てくれた。
ここからが私の攻撃。
精一杯の上目づかいで、彰人に聞いてみる。
「私と、お話するのつまらないかな? お話したくないの?」
「い、いや、そんなことは無いけど……」
私の攻撃が効いたようで、彰人は頬を赤らめた。
「ググるだけじゃわからないこともいっぱいあるじゃん。私は彰人に教えてもらいたいの」
図書館だから声は小さめにして。
けど、彰人には聞こえるようにと耳元へ近づいて話しかけてみる。
精一杯のぶりっ子。
我ながら可愛いと思うんだ。ふふ。
彰人は恥ずかしがってか、目を逸らしながら答えてくれた。
「今日は、ディズニー映画がやるよ。地上波初放送。一緒に話しながら観ようか……?」
ふふー、私の大勝利。
私は、彰人の耳元で小声で囁く。
「彰人ってやっぱり詳しいね。私にとっては、彰人がグーグル先生だよ。好きだよ」
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