秋の夜長
秋のシルバーウィークがやってきた。
秋には、『秋休み』というのがない代わりに、連休が多くあるんだ。土日とくっついた三連休が何回かある。その最初の三連休。
気分は、かなり晴れやかだった。
秋晴れって感じだなーって思って、日中はダラダラ過ごしていた。少しだけ涼しくなった外気に触れるようと窓を開け放ち、空気の入れ替えをしていた。
そんな風にしてのんびり過ごしたあとに、友達からメールが来て気づいてしまった。
「三連休って、宿題多いよねー。みんないつやるー?」
「終わった人とかいる?」
「いるわけないよー。あんなに多いのに!」
「あ、あれ? そんなに多かったっけ……?」
「そうそう、『数学』に『英語』に『化学』と『国語』それぞれに宿題出てたじゃん?」
「そ、そうだったっけ? やばい、私宿題の存在を忘れてた……」
私だけが宿題のことを忘れているようだった。
私がメールを送ると、友達たちからスタンプが返ってきた。
「ドンマイ」
「頑張れー!」
「同情するよ」
連休と言えど、宿題をやる時間はあまり取れないのだ。
明日、明後日は部活で別高校まで遠征する予定があるし。そうなると、宿題なんて手を付けられない……。なおさら今日やるしかないのか……。
受け入れるしかないと思い、皆にメールを返した。
「これから宿題します! みんなも付き合って!」
私の投げかけに対して、友達は優しい返事をしてくれた。
「いいよ! やっぱり早めにやっておく方が気持ちいいしね」
「みんなで手分けしてやったら、すぐ終わるよ!」
「私たちは友達だし、全然大丈夫だよ! 頑張ろう!」
もう夕飯も食べ終わっている時間だったのだが、私たちの宿題タイムは始まった。
◇
やり始めたのは良いけれども、やはり量が多い。全然終わらない。
疲れた時には、息抜きしながらグループでメールで進捗を報告しあう。
「どこまで終わった? 私数学の宿題がやっと半分くらい」
「私は英語がもうすぐ終わるよ! 英語で好きな物紹介するのあるから、考えておくといいよ!」
「化学と国語は全然楽勝だったよ! 他終わって無い強化協力するよー」
なんだかんだ集中して頑張っていたら、もうすぐ0時を超える時間になっていた。
疲れているけれども、なんだか心地よい疲れだなと思った。
秋の夜長に、友達グループでメールをして、皆で助け合いながら宿題を進めるのは、なんだか楽しかった。
「もうすぐ宿題終わるね!」
「皆ご苦労様ー!」
「一緒に宿題するの楽しかったよー」
「持つべきものは友達だね!」
宿題はつらかったけれども、終わってよかった。
秋の夜長って、なんだかいいね。
私好きだな。
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