メンズバレンタインデー
今日はなんだか特別な日だったらしい。
学校から帰ってきて、いつものように部屋で宿題をしていると、突然スマホが鳴った。画面を見ると、彼氏の翔太からのメッセージだった。
「今、家の前についたよ!」
何の前触れもなく、いきなりのメッセージに驚いたけど、すぐに玄関に向かった。ドアを開けると、翔太が笑顔で立っていた。そして、手には小さな箱が握られていた。
「来てくれるのは嬉しいけど、なんでいきなり? あんまり家に遊びに来たことないじゃん?」
「これ、君に渡しに来たんだ」
翔太はそう言って、私にその箱を差し出した。小さな箱で、アクセサリーとか入れる時はこんな箱に入ってるかもなって思った。
プレゼントなのかもしれないと、驚きと嬉しさが入り混じった気持ちで箱を受け取ってみた。、
「開けてみて?」
言われたまま開けてみると、私がずっと欲しかったネックレスが入っていた。心臓がドキドキして、言葉が出なかった。
「どうしてこれを……?」
「君が欲しがってたの、知ってたからさ」
翔太の言葉に、さらに驚いた。私がこのネックレスを欲しがっていることを、どうして知っていたのだろう。確かに、友達と話している時に一度だけ言ったことがあったけど、それを覚えていたなんて。
「ありがとう、すごく嬉しい。でも、どうして急にプレゼントをくれたの?」
翔太は少し照れくさそうに笑った。
「うん、なんだか君に、特別なものをあげたくて」
その言葉に、胸が温かくなった。
でも、同時に少し不安な気持ちも芽生えた。翔太がこんなに私のことを考えてくれるのは嬉しいけど、何か隠していることがあるんじゃないかと疑ってしまった。
「翔太、何か隠し事してない?」
「別になんにもないよ!」
翔太は少し慌てた様子で、否定していた。
やっぱりなんだか怪しいんだよな。
「なんか怪しいよ!」
「わ、わかったよ。理由言うけども。今日って『メンズバレンタインデー』って日らしいんだ。最近流行ってるみたいだし、なんかあげたら喜ぶかなって」
「そんなのがあるんだ……?」
翔太が私のことを大切に思ってくれているのは確かだ。でも、それでもまだ少しだけ不安が残っていた。
「ありがたいけども……。でも、どうして私の欲しいものを知ってたの?」
翔太は少し驚いた顔をしたけど、すぐに笑顔に戻った。
「君が友達と話してるのを偶然聞いたんだ。それで、君が本当に欲しがってるんだなって思って」
その言葉に、私はようやく安心することができた。翔太が私のことをこんなに大切に思ってくれていることが、改めて嬉しかった。
「ありがとう、翔太!」
私は翔太に抱きついた。
初めて聞いたから、びっくりしちゃったけど、メンズバレンタインデーという特別な日って、嬉しいかもな。
「大好きだよ!」
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