カラコン

「うわっ! カッコいい。すごい再現度だよ!」


 文化祭でコスプレをすることになった。

 クラスメートで挙げた案の中から多数決で決めるってなったんだけれども、オタクな女子グループの組織票によってコスプレ喫茶に決まってしまったのだ。


 今日は試しに、コスプレ姿を見てみようということになった。コスプレ姿で、ちゃんとウェイトレスとしてできそうかということを、デモンストレーションしてみようとなったのだ。

 一人一人コスプレした姿で教室に入ってくる。それを教室に残ったクラスメートで見るということをしている。


 最初の一人が出てきたところで、歓声が上がった。



「おおおーー。やっぱり、良いですなぁ」

「うんうん。わかるわかる。そうやって再現させますよね」



 オタクグループの女子たちは、うんうんと頷きながら評価しているようだった。

 楽しんでいるなら、良いかと思うけれども。

 自分でコスプレするわけじゃなくて、見て楽しむ派だったんだねっていうのは思った。


 近くに寄ったりして、上から下までじっくり見ていた。


「やっぱり、美紀は似合うと思った」

「グッジョブ!」


 この女子たちは、良い趣味してますね。はは……。



 クラスの中でも可愛い女子たちが数人出てきて、クラスメートたちがみんなで可愛いーってあがめていたら、私の親友の加奈子かなこがコスプレ姿で教室に入ってきた。

 加奈子は他の子と比べても、すごい再現度だった。金髪の長い髪に青い瞳というキャラクターのようで、髪も瞳も全然違和感が無く着こなしていた。


「どうかな? 私、可愛いかな?」


 加奈子がうつむき加減でそう言うと、周りの女子たちが興奮したように奇声を上げていた。


「か、かわいいいいーーー!

「これだよこれこれーーー!」

「すごくいいいいーーーー!」



 多分、私も知っているキャラクターだ。CMで見たことある気がする、有名なキャラクター。

 キャラになり切ったセリフを言っているようで、アニメに疎い私でも聞きなれた感じだった。

 それも、声も何となく似ているし、画面の中から出て来たって錯覚しちゃうくらいの再現度だ。


「いいよ、いいよ!」

「すっごい似合ってる!」

「加奈子ちゃん優勝! 看板娘!」


 加奈子が教室に入ってくると、次の人がコスプレ姿でやってきて、女子たちはそちらの方に目が移っていった。

 違う子に対しても、ワイワイガヤガヤと、楽しそうだった。


 加奈子は、私の隣へとやってきた。


「コスプレって、なんだか楽しいね。初めてだったけど、上手くできたみたい」

「うん、すごいよ加奈子。コスプレが似合うって、羨ましいよ、特に青い目がすごくいいよ!」


「ふふ、ありがとう。私、カラコン初めて入れたんだけどね。褒めてもらって嬉しい。カラコン入れると、自分じゃなくなるみたいで楽しいよ。私、カラコン好きかも!」

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