計画
夏休みが終わってしまった。私は窓の外をぼんやりと眺めながら、何もできなかった自分を慰めていた。
どんまいだよ、私。
そういうこともあるよ。うん。
黄昏てると、
「ねえ、夏休みどうだった?」
美紀の眩しい笑顔が目に飛び込んできた。
目はキラキラと輝いていて、まるで宝石のようだった。
夏休みの話をしたくてうずうずしてるのだろう。
これは、話を聞くっていう選択肢しか無さそうだね。
「私は寝てばかりだったよ。美紀はどうだったの?」
「え、私はね、いっぱい遊んだんだよ!」
美紀は、夏休みの初めから計画を立てて、毎日を有意義に過ごしていたらしい。その話を聞くたびに、私は羨ましさと自己嫌悪に苛まれていた。
「うん、楽しそうだね」
私の生活は堕落しきってたからなぁ……。
何も特別なことはしていなかったし、毎日ダラダラと過ごし、気づけば夏休みは終わっていた。
「私はね、毎日早起きして、ジョギングして、読書とか勉強とか友達と遊んだり……」
美紀は、自分が計画した通りに過ごしていたということを一つ一つ伝えてくる。この話を聞くのも何回目かなんだよね。はは……。
けど、美紀の話を聞いていると、まるで別世界の話のように感じるよ。
「すごいね、美紀って。計画を立てるのが上手なんだね」
私は感心したように言った。
「ありがとう。でも、計画を立てるのは誰でもできるんだよ。大事なのは、それを実行することだと思う」
美紀は優しく微笑んだ。
「私は、計画を立てることが苦手なんだよね。いつも思いつきで行動し、結果的に何も達成できないことが多いし」
私も美紀みたいに計画を立てて、それを実行することができれば、もっと充実した日々を過ごせるのかもしれないんだよね。
「最初はそうだよね。私も、最初はそうだったよ。計画のコツはね、毎日確認して、その都度組み替えていくといいんだよ!」
「えぇー? せっかく計画立てたのに、毎日変えちゃうの?」
「そうそう、計画って勝手がわからないから無理に組んじゃうことも多いんだよ。だから、計画を作ったら定期的に確認するのがいいんだって! 計画は守ることと言うよりも、計画の中身に書いたことが達成するのが目的だからね!」
美紀は、誇らしげに夏休みの計画を見せてくれた。私にとっては、完璧な計画に見える。
「これ、何回も計画変えてたの?」
「そうそう、最初の方はもっと宿題を詰め込んでたんだけどね、一日にできる分量がわかったら、後ろの方の予定を調整していくといいんだ」
美紀は、楽しそうに教えてくれた。
「ふふ。私ね、計画立てるの好きになったんだ!」
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