冷やしパイン
お盆になったので、うちの家族も漏れなく実家に帰省をした。
昨年とか一昨年は、流行り病のせいで帰れなかったんだけれども、今年は帰れることになったの。
帰省先の家に着くと、おばあちゃんが迎えてくれた。久しぶりに会ったけれども、おばあちゃんは元気そうだった。
「おばあちゃん、ただいま!」
「おかえり、
可愛いおばあちゃんで、お母さんにすごく似てるんだ。私にも少し似てるかもしれない。笑った時に出来るシワが同じなんだ。その顔が一番可愛いって思う。
「また会いに来てくれて、嬉しいよ」
「私もだよ、おばあちゃん!」
おばあちゃんと、ギューッと抱き合った。おばあちゃんって、古い親友みたいな、なんだかそういう感覚にさせてくれるんだ。
私は、おばあちゃんが大好き。この家も大好き。また来れるようになって良かった。
「そうだそうだ、美智子が好きな夏祭り。ちょうど今日の夜にやってるみたいだよ。昔みたいに、おばあちゃんと行こうか?」
「昔行ったことある、あの夏祭り? 私行きたい!」
私の返事に、おばあちゃんはうんうんと、優しく頷いてくれた。
◇
夕方になると、浴衣を着せてくれた。
おばあちゃんの家にある、お母さんが昔来てた浴衣。私も、昔のお母さんと同じ体型になってきたってことかな。裾の長さもぴったりになっていた。
それを着て、夏祭り会場へと向かった。
夏祭りは、田舎ながら賑わっていた。小さい頃から何回も来たことあるけど、おばあちゃんのところの夏祭りって、なんだか雰囲気が好きなんだ。
都会じゃ味わえない良さがあると思う。
地方ごとに盆踊りっていうのも違うって、大きくなってから分かったんだ。ここの盆踊り好きなんだ。何回も来てるから、私も踊れるようになったんだよ。ふふふ。
おばあちゃんと並んで盆踊りをする。おばあちゃんが踊る盆踊りを久しぶりに見たけれども、やっぱりすごく上手い。手の振り方、足の出し方。一つ一つの所作が滑らかで、綺麗に感じた。
そういうところも、私がおばあちゃんを好きな部分だったりする。
「おばあちゃん、やっぱり盆踊り上手!」
「はは、何年も踊ってるからねー。上手くなりたかったら、美智子も毎年来るといいよ」
「うん!」
盆踊りをして、少し疲れたので休憩を取ることにした。
おばあちゃんは、いくらでも踊れそうだったけれども、私が疲れてしまった。盆踊りの輪を抜けると、おばあちゃんも一緒に抜けてくれた。
「休憩に、何か食べようかい? おばあちゃんが買ってあげるよ」
「ありがとう!」
盆踊り会場の周りに屋台が並んでいる。おばあちゃんと一緒に、屋台を見て回った。
私は、久しぶりに見た屋台の文字を見つけた。
「これ! 私これが良い!」
「冷やしパインかい? はは。小さい頃から、いつも美智子はいつもこれを食べてたねぇ」
小さい頃から、夏祭りで冷やしパインが好き。
夜でも暑い身体を冷やしてくれる。盆踊りで疲れた身体にとっても染み渡るんだ。
「おばあちゃん、ありがとう! おばあちゃんと食べる冷やしパイン、私大好き!」
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