きのこの山とたけのこの里
この世に争いが絶えないということを私は身をもって体感しているところなんだ。
いろんな対立があるから、戦争っていうものは起きるんだよね。それは世界レベルで見た話だから、今の私の身に起こっていることとはちょっとスケールが違うんだけれども。
今私の身に降りかかっている戦争は、『きのこの山』と『たけのこの里』の戦争なのです。
なんで、対立しあっているんだよーって思うんだけれども、なかなか両者譲らないんだよね。
そもそも、私は争いって言うのが好きじゃないから、どちらの派閥にも属さないって言っているんだけれども、それぞれが私にアピールしてくるの。
一人は、
「私は断然、きのこの山が良いって思うよ。なんと言ったってね、チョコレートの量はたけのこの里の1.4倍もあるんだよ。この時点でチョコレートのお菓子としては、きのこの山の方が圧倒的に良くない?」
「は、はぁ……。そんなに違うんだね……」
なおも、木野子ちゃんは続けた。
「それでね、持ち手となっている柄の部分のクラッカー。それが、カリッとした触感で、また良いんだよ。チョコとの緩急があって、すっごく美味しいの」
「なるほど……」
もう一人の
「そんなに単純な量だけで比べてもらっちゃ困るんだよね。たけのこの里はチョコの量というよりも、チョコの質が違うわけ」
「う、うん。そうなんだ……?」
私が疑問を投げ返すと、里子ちゃんは「よくぞ聞いてくれました」といった顔になって、解説を続けた。
「そうなのですよ。たけのこの里は、なんと、チョコレートが二層になっているんです。ミルクチョコとカカオチョコの二層になっているから、味わいからして全然違うわけですよ。量じゃないのよ、質よ質! もし量っていうところで勝負がしたいんだったら、クッキー部分も比べてよね。たけのこの里の方がクッキー部分は多いでしょ」
木野子ちゃんが言い返してくる。
「1個あたりの重量って知ってる? たけのこの里は1個2.3gなの。きのこの山は1個2.4g。そして、1箱で比べると一目瞭然。たけのこの里は70g、きのこの山は74gよ! つまり量でいうなら、きのこの山の圧勝なの!」
なんだか、段々とヒートアップしてきているのを感じた。
二人は私の方を向いてきて、一緒に聞いてくる。
「「ねえ、
真剣な顔で聞いてくる二人。
あまり言い争いは好きじゃないし、どっちが勝ちとか負けとかは決めたくないなって思っちゃうんだよね。
「そしたらさ、きのこの山とたけのこの里、二つとも食べてみよう。私はどっちも好きだよ!」
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