たこ焼き

 流行りものに敏感な竜子りゅうこっていう親友が、オリンピック観戦をしようというっていってきた。


「観戦するのは良いけれども、どこで観戦するの? スポーツバーなんて私たちいけないわけだし?」

「いい場所があるんだ!」


 竜子に提案されたのが、レンタルスペースっていうところだった。都会の家ってそんなに広くないから、誰かの家に行くこともできないし。みんなで集まってワイワイする場所をレンタルっていうのができるらしい。

 竜子は友達みんなに声をかけて、大勢で一部屋借りることにした。

 そこまでしてやるかとも思ったけれども、楽しそうだから私も、もちろん参加することにした。


 場所は、私たちが住んでいる街の駅前のビルだった。学校に行く時もいつも見ているビルだったけれども、そんなスペースがあるなんて知らなかったな。会社か何かかと思っていたよ。

 早速、集まったメンバーで中へと入った。


「思ったよりも、ひろーい! テレビも大きいよ、見て見て!」

「すごく、ファンシーな飾りつけ」

「女子の部屋みたい!」

「私たち、女子だけど、憧れちゃうな。うちの部屋もっと汚いし」

「それは、確かに思う。私もこんなに綺麗じゃない」


「「はははは」」


 女子全員、こんな部屋じゃないってことだね。私たちの仲間内は、ズボラな人が多いからな。はは。


「オリンピックを見るんだけれども、せっかくなら何か食べながら見ようよ!」

「なんか、メニュー表見ると、色々材料から買えるっぽいよ! 私たこ焼きパーティしたい!」

「いいね、たこ焼き! 賛成!」


 早速、今日の幹事の竜子が電話で注文した。サービスが行き届いているようで、カラオケのジュースを注文するよりも早くたこ焼きを作る材料が部屋に届けられた。

 たこ焼き器に、小麦粉と、切れているタコ。揚げ玉とか、ネギとか、チーズなんかもセットでついてきた。


「たこ焼きってよく食べれけど、私作ったことないや。どうやるの?」


 竜子の方に目線をやると、竜子もにこにことした笑顔が顔に張り付いていた。これは、答えが分からないのに先生に指名されたときの顔と一緒だ。


「実は、私も分からないや」

「はは。そうなんだ? じゃあ教えてあげるから、見てなよ」


 私と竜子は、友達がたこ焼きを作る様を見ていた。


 小麦粉と水を混ぜた液を作って、それをたこ焼き器の中に入れていく。その後、メインとなるタコを入れていった。

 私と竜子は、それぞれ分担された『ネギ入れ係』、『チーズ入れ係』をした。

 他にも、みんなで、それぞれの分担の材料を入れていった。


 しばらくすると、良い匂いがしてきた。

 ひっくり返すときは、慣れてる子がちょいちょいとひっくり返していった。すごい速さでサッサッサッとひっくり返った。すると見慣れたたこ焼きの形が見えてきた。


「そうそう、本題はオリンピックを見ることだからね! これを食べながら、みんなで応援しようー!」


 私的には、初めてたこ焼きを作ってみてそっちの方が楽しかったかもな。ふふ。今度家でもやってみようかな。

 とっても美味しそう。たこ焼きって好きだな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る