朝活

 昼間から、リビングでゴロゴロしてテレビを見ている。夏休みって、日中から子供向けの番組をやってたりするからいいよね。


 夏休みって、こうやってだらけられて最高だよね。毎日夏休みだったらいいのにな。


 そうしていると、母がリビングにやって来た。



晴子はるこ、夏休みだからってのんびりするのはいいけど、宿題もやりなさいよー?」

「はーい」


 空返事を返すと、お母さんは少し怒り気味で言ってくる。


「早くやりなさいよー!」

「わかってるよー。明日やるー!」


 夏休みの宿題って、中々やる気が起きない。

 宿題がいっぱいあるのは知ってるんだよ。

 そして、いつもお母さんに口酸っぱく言われる。


「そうやってたまって行くんだからね?」

「わかってるよー!」


 何回も言われると、さすがにうざったい。

 私は耳を塞ぎながら、リビングを後にして階段を上がる。毎日これの繰り返し。



 階段を登りきると、姉がいた。


「晴子、宿題はちゃんと毎日やった方がいいよ?」

「知ってるよー……、お姉ちゃんまで、そうやって言うー。わかってるけどやる気が起きないの」



 私の答えに、姉はうんうんと頷いて同意をしてくれた。


「そういう時もあるよね。お姉ちゃんが宿題をやるためのテクニック教えてあげようか?」

「なにかあるの?」


 いつもだったら、姉は小言しか言わないんだけれども、今日に限って、なんだか楽しそうに言う姉の様子が気になった。


「私の部屋に来てみなよ?」


 そう言われたので、素直に着いて行ってみる。



 姉の部屋に入ると、デカデカとカレンダーが貼ってあった。夏休みの計画と書かれていた。

 カレンダーには、日付ごとに予定の書き込みがしてあって、完了したところは横線で消してある。

 なんか作戦って言ってた割に、そんな大したこと無さそうだけども。あと、言ってしまえば、完了したところが少ない……。



「お姉ちゃんの作戦って、これのこと? 計画立ててやれってこと?」


 姉は少し恥ずかしそうにして、身体でカレンダーを隠した。


「いや、これは違うのよ。これは別の計画だから見ないでね。ははは……」

「えー? そうしたら、何が作戦なの?」


 姉は、机の中からノートを取りだした。表紙に『夏休みの宿題』と書かれたノート。


「夏休みの宿題はこっちに書いてるんだ」


 見せてくれた最初のページに、同じくカレンダーが書かれていて、チェックが付けられていた。


「こうやってね、チェックしてくんだけどね、毎日朝起きたら、すぐ見るようにするのがコツなんだよ」

「どういうこと?」


「一日のやることが、書いてあるから、それを朝イチで認識できるって感じだね! ダラダラしたり、遊びたかったら、これを終わらせちゃえば良いだけなの!」


 姉は胸を張って、得意げにしていた。


「こうやってやる、朝活良いよ! 私好きなんだ!」

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