シュタゲ

 友達の加奈子かなこに、秋葉原に呼び出された。


 よく加奈子に遊びに誘ってもらうんだけど、それはいっつも地元のカラオケとかなんだよね。

 今日に限っていきなり、秋葉原に現地集合って言って呼び出されたんだよ。


 なんでなのかなーって、ずーっと考えているの。

 それも、朝早くなんだよ。

 なんで、夏休みなのに始発電車に乗らなきゃいけないのよ。もっとゆっくりな時間でもいいじゃん。


 いくら友達だからってさ。

 今日は、ちょっと怒っちゃおうかな。


「何があるの?」って聞いてみても、「いいからいいから、来てみたらわかる」って言うばかり。もう、加奈子ったら。



 現地に到着して、電気街口改札を出ると加奈子が立っていた。

 なぜか、白衣をつけた姿。

 そして、変なポーズを決めている。

 腕を組むと見せかけて、失敗しちゃったような。

 腕を身体の前で交差させている格好。


「遅いよ、助手!」

「……えっと、加奈子でいいんだよね? 何しているの?」


「はっはっは! よくぞ聞いてくれました。この格好は、シュタインズ・ゲートのコスプレなのです」

「……うん?……シュタインズ・ゲート?」


 私が問いかけると、加奈子は素に戻って答えてくれた。


「そうそう! 知ってる? 結構有名な作品だよ?アニメでもやってたんだよ?」

「いや、私は全然知らないな」


「じゃあ、今日ハマること間違いなしだね!」


 そう言いながら、加奈子は頷いている。

 加奈子をそうさせてしまう理由が、私に理解できる日が来るのかな?

 もし、それが今日であったのなら、嬉しいような、嬉しくないような……。


 そんな、加奈子と連れらえて、私は目的地へと向かった。



「秋葉原ってね、シュタゲの聖地なんだよ。今日はね、聖地巡礼イベントっていうのがやっているの」

「へぇ」


「ここがね、岡部さんとか、ダル君が研究していたラボだよ」

「ラボ?」


「もう、本当に全然知らないんだね。面白いんだから、帰ったら見てみてよね?」


 せっかく、夏休みを一日使ってきたわけだから、今楽しみたいなぁ……。

 そう思ったので、加奈子に聞いてみた。


「シュタゲって、どんな話なの?」

「ふっふっふ。よくぞ聞いてくれました。我らがリーダー鳳凰院凶真さんは、タイムマシーンを作っちゃった話なのです」


「えー? そんな話なの? 加奈子のしゃべり方とか聞くと、中二病全開な話かと思ってたけど、SFなの?」

「まぁ、中二病全開であることは間違っていないんだけど、SF味もあるっていうところだよ」


「そうなんだ?やっぱりアニメでも見ないと分からないかもな」

「うんうん。じゃあ、帰ったら電話しながら一緒に鑑賞会でもしようよ!」



 加奈子がこんなにハマるんだったら、私もハマるのかもしれないかもしれないな。


「ねっ! このイベントは今月中やっているからさ、アニメ見たらまた来ようね。私の好きな作品、シュタゲだよ! それだけでも覚えて帰ってね!」

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