桃
夏休みも間近!
この季節になると、桃がいっぱい溢れる。桃味がいっぱいあって私は幸せなんだ。
桃って、桃源郷って言われるだけあって、神聖な食べ物っていう感じがするんだよ。
私はとっても好きで、夏になると桃が味わいたくなるよね。
帰りのバスの最後部の座席。
三人で並びながら座って、「桃が食べたいんだよねー」って口走ったら、星野さんと、多野さんが勢いよく口を開いた。
「私は、スターバックスコーヒーの『ラブ & ピーチ フラペチーノ』が良いと思うよ!」
「私は、タリーズコーヒーの『&TEA ピーチフローズンティー』が良いと思う!」
「へぇー? カフェごとに、桃の新作ドリンクが登場しているんだ。私はどっちも飲んだこと無いんだよなー。どっちが美味しいのかな?」
私の言葉に対して、星野さんが息を荒げながら早口でしゃべり出した。
「スターバックスの新作『ラブ & ピーチ フラペチーノ』はね、完熟した桃の果肉が良いんだよ。ピーチピューレがたっぷり乗っかってて、みずみずしい甘さと芳醇な香りが楽しめるの! まるで完熟した桃をそのまま食べているかって感じ! あと、ホイップクリームが上に乗っているから、それで味変しながら食べ進んで。とっても美味しいの! 見た目からして夏らしい爽やかな感じだし!」
「なるほど、なるほど。まさに今食べて来たような、言い方だね。とっても美味しそう」
星野さんの方が美味しそうかなーって思っていると、今度は多野さんも勢いよくしゃべり始めた。
「ちょっと待ってよ。タリーズコーヒーの新作『&TEA ピーチフローズンティー』だっていいんだから! そっちにも、もちろん桃は入っているんだよ。けど、なんと言っても良いポイントは、凍ったフローズンティーっていうところなの! 白桃のフローズンとアイスティーを組み合わせた新感覚の飲み物! ピューレじゃないけど、白桃自体のとろっとした果肉感もたっぷり入ってるし、アイスティーのほのかな渋みが、アクセントになってて、白桃の甘さを引き立ててるんだよ。それ自体で、自然と味変がされてるから、飽きずにさっぱり飲めるわけ!」
「うんうん」
……二人とも、なんだかカフェにかけてる熱量が高すぎないかな。
涼しいはずのバスの車内は二人の言い合いで暑く感じられた。
「「それで、どっちがいいと思う!?」」
二人に挟まれている私は逃げられる訳もなく。
そんな言い合いをして、答えは私にゆだねられたわけですけども。
どっちも美味しそうだよね。
「じゃあさ、どっちも飲んで比べてみよう! 私、桃好きだからどっちも飲みたいな!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます