逆襲

 私たちの学校は行事が多い。

 入学式は、4月にあるんだよね。それは普通の学校もそうだろうと思うの。

 その次の月、5月になると体育祭をやるんだ。準備が少ない中で唐突にやるんだよね。涼しい時期にできるっていうので5月にあるのがうちの学校。

 その次の6月は、中間テストの時期があるの。ひたすら勉強に打ち込むっていう。文武両道を実現してるような学校だね。


 そして、今月7月については、夏休みが待っているだけじゃないんだ。

 7月は、全学年、全クラスで行う球技大会があるの。


 全部の行事、全然準備期間が無いのに、みんな一生懸命にやっているんだ。


 球技大会に関しても、中間テストが終わったら、どのクラスも練習を始めたりしていたの。

 クラス一丸となって、チームワークもすごく良くなっていった。


 うちのクラスがそうだから、他のクラスも同じ状況な訳だよね。だから、どのクラスも準備ばっちり。



 球技大会で、私が出場する種目はバスケットボール。

 最初の試合は、ちょうど隣のクラスとの戦いであった。


 勝負は、前半終了間際。

 点数はというと、4-22で、私たちのクラスが負けているの。


 これって、かなりボロ負けな感じ……。

 めちゃくちゃ隣のクラス強い……。


 前半最後にダメ押しで点数を追加されて、前半終了した。


 ベンチに戻ってきてチームで話す。


「ちょっと、強すぎるね……」

「私たちもしっかり練習したのに、レベルが違うよ」

「せめて、茜がいてくれたらな」

「そうだよ、なんで茜はいないの?」

「盛大に寝坊したって、メール来てたよ。さっき」

「はぁ。こんな大事な時に……」



 ――ピピー。


 休憩時間が終わる笛が鳴った。



「もう、負け試合かもだけど、やるしかないか……」



 その時、体育館のドアが開いた。

 そこにいたのは、茜だった。


「ごめん、大変申しわけござらぬっ!!」


 体育館へ入ってきて、私たちのベンチに来るなり、茜は正座をして頭を床につけた。


「ちょっと、遅いよ!」

「もう、試合も後半だよ!」


「本当にごめん。けど、まだこの点差なら、逆転できそうだよね」


「そんなことできる? めちゃくちゃ強いんだよ?」


「それよりも、私たちの方が強いって! あんなに練習したじゃん! 後半頑張ろう!」



 元気良く言う茜。

 茜が来ると、なんだかチームの顔色がすごく明るくなった。

 茜がいたら、勝てるんじゃないかって思えてくる。


 茜はユニフォームを着て、後半のスタートメンバーとして出場した。



 相手チームボールで開始する後半戦。

 その状態でも不利だっていうのに、みんなはやる気満々だった。


 ハーフコートからボールが投げ入れられると、さっそく茜が厳しいディフェンスについた。

 そして、厳しいディフェンスをして、相手からボールを取った。


 取ったボールを、そのまま一人でドリブルしてゴールを決めてきた。


 後半開始数秒のことだった。



「みんな、私が来たからには、勝つからね! ここからは、私の好きな逆襲の時間だよ!」

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