海の家

 夏休みのある日、私は陽気なお姉さんと一緒に海へ行くことになった。

 お姉さんっていうのは私の親友の姉で、いつも明るくて元気な人だ。親友が今日はいけなくなってしまったから、お姉さんと二人で行くことになったの。


 朝早く、私たちは電車に乗って海へ向かった。

 窓の外には青い空と緑の山々が広がる。トンネルを何個も通ったりしながら電車は海へと向かっていく。


「今日は暑くなるから、泳ぐのはやめて海の家でのんびりしよっか」

「そうしましょうか。晴美ちゃんもいけなくなっちゃいましたし」


 私はその提案に賛成した。

 私は泳ぎがあまり得意ではないし、海の家で過ごすっていうのも良いかもしれない。


 ◇


 海に着くと、すでに太陽が高く昇り、砂浜は熱くなっていた。私たちは早速、海の家に向かった。

 ビーチからは少し離れた木造の建物。

 そこは涼しげで、風が通り抜けるたびに心地よい音を立てていた。

 お姉さんは「ここが私のお気に入りの場所なの」と微笑んだ。



 海の家の中は、木の香りが漂っていて、どこか懐かしい感じがした。お店の中はそこまで混んでいない。

 私たちは窓際の席に座り、冷たい飲み物を注文した。お姉さんはレモンスカッシュ、私はアイスコーヒーを選んだ。飲み物が運ばれてくると、私たちは乾杯をして、ゆっくりと飲み始めた。



「海まで来たけどさ。泳がないでもいいよね。こうやって海を見てるだけでも元気になるよねー」


 私はその言葉に深くうなずいた。

 少し海から離れていても、波の音も聞こえるし、海鳥の鳴き声も聞こえる。

 そして遠くに見える海と、水平線。すべてが心を癒してくれる気がした。



 親友のお姉さん。

 遠いようなきもするけど、案外近い関係で。

 それって、ちょうど水平線みたいな所にいる人。


 私は明るいお姉さんに対して、最近の学校のことや友達のことを話す。

 お姉さんは、楽しく相槌を打ちながら聞いてくれた。

 あまり誰にも言えないような、好きな人の話もしたりした。少し照れながらも、いろいろな話をした。

 お姉さんはいつも優しく聞いてくれて、時々アドバイスをくれる。



 話に詰まったりすると、お姉さんが話を降ってくれる。


「ねえ、あの雲の形、何に見える?」

「うーん、あれは……お好み焼きかな?」


「ははっ。それって、お腹すきすぎでしょ」



 そんな何気ない会話が、私にはとても楽しかった。


 時間が経つのも忘れて、私たちは海の家でのんびりと過ごした。

 暑さを避けて、涼しい風に吹かれながら、ただ海を眺めるだけで心が満たされる。

 お姉さんと一緒にいると、なんだか気持ちがいでいった。

 とても、心穏やかな気分。


 夕方になるまでずっと話していた。

 海の家からは、ちょうど太陽が沈んでいく様子も見えた。

 空はオレンジ色で。光る水平線がこちらに光を向けてくる。


「今日は楽しかったね。また二人で一緒に来ようっか?」

「うん、絶対に来よう!」


 親友とも違って、自分のお姉さんとも違って。

 けど、とても親友ににて、とても好きな感じ。


「夏の間にまた来ようね! 私さ、海の家って好きだからさ!」

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