アイス

 最近毎日、梅雨空が続いている。

 雨が降る日もあるけれども、どんより曇りの日もある。

 カラッと一日中晴れるには、まだまだ梅雨は長いんだろうな。


 朝は雨が降ることが多いんだ。

 けど、昼には雨が上がっていることもあって。

 一番暑い昼に、曇っていればいいのにとはよく思う。

 また夜になると雨が降ったりする。


 そんな感じで、いつでも雨が降る準備ができているぞーっていう天気。

 すっきり爽やかに晴れて欲しいな。


 そんな空模様でも、毎日暑い日が続いている。


 雲に隠れながらも、季節は着実に進んでいっている。

 どんなこと思って過ごそうとも、時間っていうのは着実に進んでいるんだと、ふと気付いたりする。



 気付いたら今日の授業が全部終わっていた。

 隣の席の明日香あすかが、声をかけてきた。


今日子きょうこ、暑い!」

「それは、私も思う!」


 暑い日にダラダラと語尾を伸ばしたりなんかしたくない。

 そう思うのは、私も明日香も同じこと。


「帰りに、アイス食べよう!」

「同意!」


 そう言って顔を見合わせると、私と明日香は善は急げと、一目散に学校を後にする。



 ◇



 学校の帰り道にソフトクリーム屋さんがある。

 私と明日香は、度々そのアイスクリーム屋さんに行くんだ。

 最近はここに来る頻度も高くなっていて、大体いつも、二つの種類が入る『ダブル』を頼む。


 お互いに、お気に入りのフレーバーっていうのも決まっていたりする。

 私の場合は、まず一つ目は、ベーシックにバニラを頼むの。

 それと合わせて、もう一つは気分で頼む。


 明日香の場合は、一つは必ずチョコレートにしていたりする。

 それと合わせて、もう一つは気分。



 それで、二人で分け合いっこをして食べるんだ。

 もう一つのフレーバーを決めようとメニューをながめていると、普段見ないようなフレーバーがあるのを見つけた。


「明日香、ちょっと見てよ。この味って何だろう? 赤いコーラ味?」

「今日子、こっちも見てよ。スーパースターっていうのもあるよ!」


 そうなのである。

 私と明日香は、新しい物には目が無かったりする。

 お互いに分け合うから、当たりの時は美味しい味を二人で分け合えて。

 失敗したときは、二人で半分にできる。


 私と明日香が二人で来るときの良い点だよね。


「明日香、私は、赤いコーラ味にするね!」

「いいね一。私はスーパースター!」


 多くを語らずとも、私と明日香は通じ合ってる気がする。


 どんなことをしていても、二人でいることが多いもんね。

 気付いたら、明日香とは八年も一緒に過ごしているんだ。

 そりゃあ、通じ合うよね。



 注文をしたら、すぐにアイスを受け取れた。


「じゃあ、いただきま一す」

「ふふ。じゃあ、早速、コーラ味もらうね!」


「じゃあ、私はスーパースター!」



 二人で分け合う味は、今日はどちらも当たりだったみたい。



「「おいしい―――!」」



 二人で声がそろったから、顔を見合わせてしまった。


「ははははは」」



 ふふ。

 二人で食べるアイスって、いつもよりも美味しく感じるんだよね。

 明日香と食べるアイス、好きだな。

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