2024年7月
ハイキング
先日、山開きが宣言されました。
ということで、私たちは鎌倉の山へと、ハイキングに来ているのでした。
私の意見は入っていない、彼の意見オンリーイベント。
まだ梅雨なんだけどな。
テレビで山開きのニュースが流れている時に、私はそんなことを思っていた。
そんな時に、私の彼、
「今週末は、山にハイキングしに行こう!」
イベントが大好きな彼だけれども。
ちょっと、アウトドア過ぎるのが、たまにきずなんだよね。
◇
そして、ハイキング当日。
天気は、曇り。
暑すぎないから、ハイキング日和と言えばそうだけれども。
前日に雨が降ったんだよね。
私の履いてる靴は、前日に買ったトレッキングシューズ。
慣れないところはあるけれども、いつものスニーカーだとつるつる滑ってしまいそうで怖くて新しく買ったものだった。
彼も、万全の加工をしていた。靴は私と同じく、トレッキングシューズ。
季節は夏も近づいているけれども、長いズボン。歩きやすそうな恰好の下半身。
上半身も、肌を出すようなことはせず、薄手のウインドブレーカ一をつけている。
背中には、大きなリュック。
リュックのポケットからは、ペットボトルが顔をのぞかせている。
顔にはサングラスと、陽気な笑顔。
相当楽しみにしてきたんだろうな。
そして、頭には登山用の帽子。
日よけ対策もばっちりっていう感じだね。相当気合が入っているんだな。
「よし。準備は、ばっちり!」
ノリノリの健司に水を差すのは悪い気がするけれども、聞かずにはいられない。
「あの、やっぱり危なくない? 濡れた地面を歩くんだよね?」
「そうは言うけどさ、夏の暑い日差しの中で歩くよりも、危なくないと思うよ」
もう健司ってば、前向きを通り越して、前だけしか見ていないんだよ。
ハイキングをする方向にしか考えていないんだよ。
……はぁ。
そういう前向きなところは好きだけれども。
猪突猛進なところは、ちょっとね。
前しか見ていないで猪突猛進に進んでいたら、いつか躓いて転ぶし。
もしくは、止まれなくて、壁に激突しちゃうんだからね。
「けどさ、お前の分も水分を持ってきたから平気だぞ! 存分に飲んでくれよ!」
まぁ、優しい所は、彼氏として認められるところだけれども。
「お前のタオルも持ってきたし。あと、靴下も、替えの服も持ってきたぞ! 躓いて転んでも平気だぞ!」
「……えっと、ありがとう」
やっぱり、頼りになるんだけども。
健司の言い方だと、おそらく私の下着まで準備してそうな気もするけど。
どこまでを『良い彼氏』として認識するかは、考え物だけどね。
「こういう時期は、人が少ないから二人きりでゆっくりハイキングできるから良いよな!」
健司の根本にあるのは、きっと私を好きって気持ちだから。許してあげる気にもなるけど。
……ふふ。
「ありがとうね健司! 私が転ばないように、手をつないでくれるとさらに嬉しいよ! 今日で、私をハイキング好きにさせてね!」
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