オカルト
オカルト研究部の前に着きました。
オカルト研究会というところは、なかなかにクレイジーな人が集まっていると聞きます。覚悟をしていかないと、私みたいな普通の人は、取り込まれてしまうかもしれないのです。
しかしながら、生徒会の会計を務める私には、部費を集めるという使命がありまして。しょうがなく、オカルト研究会に来ているわけでございます。
せめて、副会長か書記の人にでも、ついてきてもらえれば良かったんですけれども。何か忙しいらしくて。
二人でスマホをいじりながらどこかへ行ってしまわれたのです。
部室のドアからして不気味であります。
未確認飛行物体が釣り下がっていて、『活動中』と書かれているのです。
もしも、UFOが活動していたとしたら、部室の中には宇宙人しかいないことになります。想像するだけで、おそろしや。
どうしましょう。
うーん。
とりあえず部室の前を行ったり来たりしていますけれども。
誰か、正常な人がいればいいのですが。
あ、誰か来ました。
ニコッと私に笑いかけてくれて。
爽やかなイケメン顔。
二学年にあんな人がイケメンさんがいたのかなという風貌。少し茶髪混じりの髪には、無造作ヘアー。
けど、こういう髪型は、無造作と見せかけてちゃんとセットしているオシャレさん。切れ長の細目で、口元も薄い唇が横にニマーっと広がっていて。私の好きな顔です。
イケメン。
そして、その顔を私に向けながら、部室のドアを見守る私の前をすーって通って。部室の前までくると、部室の中へと入っていってしまいました。
ここは、イケメンの巣?
オカルト研究部とは考えられないくらいのイケメン。今の人なら、もしかすると話を聞いてくれそうな気がします。
入るなら今しかない。
――コンコン。
「失礼します。生徒会の者です」
「はい。どうしましたか?」
……あ、すごい。
オカルト研究部の中には、イケメンパラダイスが広がっていたのですね。
私の好みの顔がいっぱい。
こういう人たちが、研究しているものなのですね。
もしかしたら、全員宇宙人で、私の好きな顔に偽装しているっていう可能性も否定できませんけれども。そうだとしても、だましてくれているのであれば、皆様みんな善良な宇宙人です。
「どうしたんですか? 要件をお願いします」「あ、えっと、生徒会からの通達でして」
「あ、わかりました。部費の件ですね」
そう言って、切れ長のイケメンさんは、部室の棚から、封筒を取り出してきた。
「準備済みだったんですけど、部室まで来てもらいまして申し訳なかったです」
……わお。
私が考えていることを言わないでもわかってくれているようです。
これが、もしかすると、テレパシーっていうやつかもしれないです。
「い、言わないでもわかるなんて、さすがです!テレパシーっていうやつですね」
「はは。あなたは面白いことを言いますね。もし、オカルトが好きなら、僕たちの部活動除いていきます?」
「は、はい! 喜んで! 私、オカルトが好きなのかもしれないです!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます