ブレイクダンス
「パリリンピック楽しみだね!」
「うん? パリリン?」
梅雨の曇空が残る通学路にて、
響子は、特になんの部活にも入ってないけれども、スポーツ観戦が好きな子。自分は部活に入ってないから土日なんかも自由に動けるらしくて、週末はいつも何かしらのスポーツ観戦をしてるって聞くんだよね。
そのくらいスポーツが好きでいるの。そういう趣味があるからなのか、少し変わったりするんだよね。
わざと言ってるのだろうけれども、響子の言葉の間違いを正してあげる。
「パリリンピックじゃなくて、パリオリンピックだよね?」
「へへ。省略した方が可愛くない? パリリンピック!」
響子のセンスは、よく分からないんだよね。スポーツを見る目はあると思うんだけどね。
「そういえば、パリオリンピックってもうすぐ始まるんだっけ? 響子は何の競技が楽しみなの?」
「今年のオリンピックからね『ブレイクダンス』が種目に入ったんだよ!すごいよね、ダンスで戦うんだよ!」
「あぁー、私も新種目が追加されたって、ニュースでは見たことあるけど、ブレイクダンスってどうやって勝負が着くものなの?」
「うーんとね。音楽に合ってるかとか、基本技術があるかとか、個性が出てるかと。色々あるけど、明確には決まってないんだって。項目ごとの採点とかじゃないんだって」
「ほえ? そうなの?」
私の驚きに対して、響子は楽しそうに笑う。
「私も初めて知った時、驚いたんだよね。審査員が勝敗を決めていいらしくて。基本的な技術合ってなくても、個性的だったから勝ちとか」
「そうなんだ! それって楽しそうかも?」
「そうだよね! 私たちが男子を見るのと似てるなぁって思ってね。顔が良いだけじゃなくて、運動も出来て、優しくてとか。ジャッジの人は、どこを決め手にしてもいいんだよ」
「それって、ジャッジする人って、気持ちよさそうだね。確か1体1で戦うトーナメント制だったっけ? それだと、自分の好みが残ってくってことだもんね」
「うんうん」
響子が頷いていると、その横をクラスの男子二人が通って行った。
「おはよう!」
「おはようございます」
爽やかな挨拶と、礼儀正しい挨拶。
顔もニコニコと笑ってるか、少し微笑む程度か。
個性の違う二人だった。
その二人と、少し距離が離れた頃に響子との話が再開した。
「ああいう二人に対して、どっちが良いかってジャッジを下すんだよ。どっちもいいけど、こっちが勝ちーってするの」
「それ、なんか楽しそうだね。ふふふ」
響子といると、色んなことが知れるな。
私もブレイクダンスって見るの楽しみになってきたかもな。
響子も楽しそうに言ってくる。
「私ね、そんなブレイクダンスが好きなんだ!」
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