回転寿司

「くるくる回るよー。回るお寿司ー」


 回転寿司屋さんにて、陽気に歌うのは前に座った亜沙子あさこ。タッチパッドのメニューを見ながら何を頼もうか選んでいる。いつもの調子と言えばその通りだけれども、いつにもまして楽しそう。

 なにその歌? と言いたくなるけれども、私も同じ気分。


 亜沙子に、タッチパッドを見せてもらって、私も一緒に食べるものを選ぶ。


「回転寿司って、色んな寿司があるから楽しいよね」

「そうそう、毎月メニューが変わるんだよね。旬な食材っていうのがあるのかな? 回転寿司だけに、してるよね!」


「確かに、メニューが回転するのが早いよね」


 回転寿司っていうだけで楽しいから、何気ない話でも二人で盛り上がるね。

 メニューがタッチパッドになったことで、メニューを変えやすいっていうのもあるのかもしれない。亜沙子と来ると毎回変わってるんだよね。そして、メニューが変わったとしても、選びやすい。


「今日は何を食べようかな?」

「亜沙子、旬なやつが載ってるページ見せてよー」


「ほほい。やっぱりまずは、そこから選ぶよね」

「うんうん。やっぱり旬なものが食べたいもんね。これと、これと、これと」


「じゃあ私も、それとそれと」


 最近は完全注文になったんだ。回転寿司と言っても通常のレーンに流れているっていうのは無くて、注文をしたところに流れていくんだ。

 だからか、食べるものが偏っちゃうっていうのもあるんだけどね。新メニューのページからしか食べないからね。そう思っていると、レーンに初めて見る寿司が流れて行った。


 軍艦のようなんだけれども、緑色の何かが乗っているお寿司だった。アボカドとかなら見たことあるんだけれども、それとは違っていた。


「……亜沙子、今流れていた見た?」

「……うん、何だろう?」


「メニューから、探そう!」


 そういって、ページを最初から見ていった。旬な物のページ、マグロ、イカ、青魚……。

 全然ない……。


 お寿司のページを全部めくっていたと思ったけれども無かった。



「……おかしいな。絶対あったと思ったんだけれども」


 無いとは思いつつ、サイドメニューやデザートのページを見ていったときに、それは見つかった。


「「これだっ!!」」


 そんなメニューがあるんだっていうもの。

 その名も、抹茶アイス軍艦。


 来る度にメニューが新しくなってたりして楽しいけれども。食べたことない。


「これ、食べてみない?」

「そうだね、一緒に食べよう」


 こういうのが見つかるから、回転寿司って楽しいよね。

 私、回転寿司って好き。

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