オウム
「おはよう」
「オハヨウ」
「今日も元気していたかな?」
「今日モ元気ダッタヨ! アタリマエダロ!」
なんだか日に日に憎たらしくなってきている気がするんだよね。オウムのパロちゃん。
私は動物の世話をする、生き物係なんだ。昼休みになると、飼育室にいる鶏とかウサギとか、ここにいるオウムのパロちゃんの世話をしたりする。
新学期が始まった時は、全然普通に可愛い口調だったのにさ。これって、多分新しく生き物係になった人が悪い口癖を教え込んでいるってことだよね。多分その人は、熱心に世話をしているっていうことなんだろうけれども。
心当たりはある。
いつも、私の次くらいに来る生き物係の男子がいるんだ。そいつは清水君っていうやつで。同じクラスだから、口が悪いのも知っている。十中八九、そいつのせいだよ。まったく。
私は、パロに話しかける。
「お前さ、何でそんな口悪くなったんだよ?」
「ハ? 俺、クチ悪ク無イシ」
「なんか、返し方まで清水と一緒だよ。もっと可愛いパロちゃんだったのに」
「マァ、俺ニモ悩ミガ、アルンダヨ。聞イテクレヨ」
「はいはい。いいよ。なんでも言ってごらんよ。私が聞いてあげるからさ」
なんだか本当に、清水と話しているみたいだな。憎たらしさも、そのまま現れてくるみたいだよ。
「俺サ、好キナ、ヤツガ、イテサ」
唐突にパロが言い出した。オウムって頭は良いとは思うけれども、自分絵考えるっていうことは無いわけだから、これは清水がそのまま言ったことなのかな?
「え、なになに? それって、清水がパロに相談してたっていうことだよね? 聞きたい聞きたい!教えて? その話気になる。」
「俺、
……え? 幸代って言った?
……それって、私のこと?
他に幸代っていう子は、この学校にいないし、生き物係の幸代っていったら、私確定じゃん。
「ケドサ、ソイツ、オ前ノコトシカ見テナイジャン? 正直オ前ガ羨マシイヨ。ドウニカシテ気持チ伝エタイノニサ」
……うん。清水君。
……ちょうど今伝わっているよ。
「俺、
……やだやだ。そんな大声出して。バカじゃないの。何やってるのよ、清水。
「ハァ。コンナ事、正直ニ言エタライイノニナ。言エナイカラサ。オ前ニダケ言ッテオクヨ。二人ダケノ秘密ダカラナ」
……分かったよ。二人だけの秘密にするよ。
……私が聞いてばかりいても、ずるいから私も返事伝えないとだよね。
……けど、直接言うなんて恥ずかしいし。
……今から私やることは、パロの世話をしているっていうだけだから。
「パロ。オウムなのよね、あなた。私も、あなたのこと好きだよ。こんなことしてくるあなただから。きっとこれで、伝わるって信じてるからね! 好きだよーーーーーー!」
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