骨
早く起きた朝は、まったりと過ぎていく。
ニュース番組の、おまけでついている占いなんていうのも、まったりと見れるわけで。
昨日の残りものであったケンタッキーをゆっくり食べる時間もある。
「今日の一位は蟹座のあなた! ラッキーアイテムは、ズバリ、骨です!」
「……骨?」
思わずテレビに聞き返してしまったけども……。
手に持ったケンタッキーのチキンだったものは、今は骨だけになっている。これも骨といえば骨だけれども……。
自然と顔が、手とテレビを往復する。さながら、私が鶏みたいな動きと夏もていた。
私は占いって信じる方だけれども。これは、本当に当たるのか? そう疑いながらも、台所にあるジップロックを取り出して、今食べていた骨を入れた。
これを、持ち歩くのか……。本当にご利益はあるのかな……?
◇
良い運勢の時は、占いって気にならない。朝の結果は頭の片隅で眠らせていたら、帰りの会が終わる時間になっていた。帰り支度をしていると、ジップロックに入った骨が見えた。私のランドセルの奥底で、安らかに眠っている。
そうだった。これがあったんだ。私のラッキーなお守り。効果あったのかな……?
そう思っていると、裕子が走って来た。
「一緒に帰ろうー!」
「うん」
◇
ジップロックに入った骨を手に持って、裕子に見せながら帰り道を歩く。
「朝から元気よく『骨』と言われるとは思わなかったんだよね」
「その占い、当たらないんじゃない?」
「うーん、そうなんだよね。いつもは当たるんだけどね。まぁ、おまじないみたいなものだからさ。当たるとか当たらないとかじゃなくて、楽しいかどうかだよ」
「楽しいならいっか。ちなみに良いことあった?」
「今から、今から。犬も歩けば棒に当たるっていうし、私も歩いていたら当たるよ!」
そんなことを言って歩いていると、電柱に見慣れぬ紙が貼ってあった。探し犬の張り紙で、犬種はゴールデンレトリーバー。楽しそうにしっぽを振っている写真だ。
「この犬探していますだって」
「可愛い犬だね。この子が逃げちゃったんだ」
「餌が少なかったとかじゃない?」
「裕子じゃないんだから。ははは」
裕子は拗ねたように私を叩く。そして、段々と手が早くなったかと思ったら、驚いた顔を見せた。
「……っていうか、あそこの電柱におしっこかけてるの、この犬じゃない?」
「そんなことなくない?……って、あれ、本当だ」
張り紙の犬がいる。気ままに歩いて、クンクンと匂いを嗅いでから、おしっこをかけている。気ままだな……。
「あれ、捕まえてあげようよ。飼い主さん困っているだろうし」
「それは良いけど、どうやって捕まえよう。餌とか、遊び道具とかを持っていれば、捕まりそうだけども……」
「「あっ。骨!」」
「これ使って、捕まえよう! あの犬、絶対骨好きだよ!」
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