とんがりコーン
「おまたー! ……あっ、ちょっと待って! タイミング悪っ!」
私の前に座るのは、
机の上にスマホを立てて、スマホを弄り始める。キラキラと光る爪が、縦横無尽にスマホの画面を動き回っていた。
食事の後の昼休み休憩。私たちは、よくおやつを食べながら雑談をしている。別に部活とかやってないし、長い爪してても問題無い。特に明美は爪に全力を注いでいる。毎日の手入れは欠かさないし。週ごとで飾りが違ったりするんだ。
私は、ちょっとネイルしてるくらい。
「ごめんね。
キラキラ動く爪。今週の新作はまだあまり見てなかったけれども。白いベースに、金色のビーズが埋め込まれているみたい。気合入ってる。
ネイルをつけたり、付け爪をしたり。
ギャルが爪に寄せる関心は、何物にも勝るかもしれない。
明美がメールしているうちに、私は今日のおやつを出しておこう。今日のおやつはちょっとだけ珍しいんだ。最近見ないと思ってたけど、近所のスーパーで売ってるところを見かけたから買ってきたの。私が小さい頃はいっぱい食べてたんだよね。思い出の詰まってるお菓子。
「え、うそー! それ懐かしい! とんがりコーンじゃん!」
「ふふふ。そうそう、今日のお菓子はこれ食べよ!」
私は袋を開けて、先に食べる準備をする。
とんがりコーンと言えばこれだよね。
「あははは、やっぱりそれやるよね」
「とんがりコーンの食べ方なんて、これしかないでしょ。常識的に考えたら、これしか無くない?」
私は、両手の指の先にとんがりコーンをはめて、明美がメールを終わるのを待つ。私の赤いネイルが全て隠れて。ちょっといつもと違う気分。つけ爪はしたことないけれども、こういう感じなのかな?
……けど、それは、さすがに、とんがりコーンとは違うか。
待っていると、明美がメールを終わらせた。
「よし、返信したから、私も準備しよっと!」
明美はつけ爪の上にとんがりコーンを付け始める。私と同じく全部の指に着けるけれども、明美は長いつけ爪をしているから、つけ爪のカバーみたいになっている。
「なんか、帽子みたいだよね」
「逆に、オシャレじゃない? これ?」
ふふふ、久しぶりにやると、やっぱり楽しいな。
「俺にも、一つくれよ」
その声が聞こえると、私の指に被っていた三角が甘噛みされながら剝がされた。
誰かと思ったら、
「え、ちょっと取らないでよー」
私の言葉に、健司は残念そうにしながら、私の指にとんがりコーンを戻した。
取られたことにビックリしちゃったけれども。
触れていないのに、手の甲にキスされているような気がして、お姫様になった気分だった。
とっても恥ずかしい……。
「いや、やっぱり戻さなくていいよ、食べちゃって……。とんがりコーン、美味しいよね。私、好き……」
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