ごとぐる
学食にて。
ここの一番人気はカレーライス。
少しから目のスパイシーカレーで、食欲をそそる。
そして何より、食堂の中で一番安いのだ。
それでいて、無料で大盛りにも対応している。
「ねぇねぇ、
「いや。私は遠慮しておく。昨日のご飯、カレーライスだったんだよ。カレーは絶対ヤダ」
「えー? そんな嫌なの?」
「うん。それぞれ自分の分を買おう。私の方が先になるだろうから席で待ってるのね」
「OK!」
そう言って、
そりゃあさ。愚痴にもなりますよ。
二日者カレーは美味しいというのは、カレーを食べ慣れていない家庭の子が言う話だと思う。
食べ飽きている人にとっては、美味しいかどうかは、もはや判断基準になっていないのだ。
毎週、金曜日、土曜日、日曜にカレーライスを食べてみるとわかると思う。
美味しかろうと何だろうと、カレーに飽きてくるのだ。
二日目のカレーは美味しいのかもしれない。
それは、確かにそうだけれども。
最初の反応としては、「またカレーか」になるはず。
美味しものを食べた時にも、「熱い!」とか「冷たい!」とか。
そういう反応をする人って、味を言ってくれーって思うけれども。
今の私がカレーを食べたら、絶対に第一声は「カレー飽きたよ」って言っちゃうと思う。
私が先に買って席に着くと、三波じゃない
「おっ! 明日香さんは、今日の食事は『しらす丼』なんだね! ご当地の食材っていうものをわかっているね!」
「ん? ご当地? 私は、カレーに飽きちゃったから、ちょっと素朴な味をするものを食べたくて」
「なるほど、なるほど。カレーはちょっと、あまりこだわりがなさそうだしね! 明日香さんはできる人ですね」
あまり後藤さんと話したことなかったけれども。なんだか変な人なのかな?
食に興味があり過ぎるのかな?
後藤さんは、聞いてもいないのに自分の食事を語り始めた。
「私はですね。鎌倉野菜を使った、フレッシュサラダなんですよ。これって、メニュー名についてないものの、味を見ればわかりまして。裏鳥として、学食のおばちゃんにも聞いてみたんですけど、このサラダは鎌倉野菜なんです! これが美味しいのなんのって」
なんだかわからないけど、後藤さんはキラキラした瞳をしていた。
大きく切られた野菜のサラダ。
フォークで刺すと、とてもいい音をして刺さった。
それを、私の口に運んできた。
「あーんしてください?」
「は、はい?」
半ば無理矢理詰め込まれたサラダ。
確かに後藤さんの言う通り、美味しいかもしれない。
歯ごたえがあるような触感、噛むと中かから瑞々しい味が溢れてくる。
「……美味しい」
「でしょ? これもご当地グルメなんだよ。ご当地ごとに、名産があってね。『ごとぐる』っていうんだよ。覚えて帰ってね! 私の大好きなものだよ!」
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