ご当地キャラ

 電光掲示板に、ずらーーっと並べられたご当地キャラ。

 今日はご当地キャラ人気投票が行われている。


 東京のとある屋内球場。

 フィールド部分には、ご当地キャラの姿も何人も見える。

 そこで、ファンサービスをしている。

 お客さんと一緒に写真を撮ったり、ダンスパフォーマンスをしたりしている。



 ご当地キャラを『人』という数え方で良いのかは、分からないけれども。

 人型をしていることが多いから、『人』っていうことでいいんじゃないかな。


『匹』って数えちゃうと、それはそれでちょっと夢が無いというか。


 そんなご当地キャラの祭典が開かれているのだ。



「いやー、すごい盛り上がりだね」

「そりゃあそうだよ! ご当地キャラってみんな好きだもん」


「そうなんだねー」


 みつるとデートで一緒に来ている。

 私が好きだからきているんだけれども、充はあまりご当地キャラを知らないみたい。


 充は、周りをきょろ距離しながら言ってくる。


「なんか、この球場入る前から、ノボリもすごかったし。なんだか『戦国時代の武将』みたいだったよ。死地へ向かう戦争みたいな感じだったし」


 何も知らない充に、教えてあげる。


「うん、それはね、ある意味正しいんだよ。この人気投票で負けることは死ぬことと同義だからね」

「え! そんなことないでしょ!?」


 驚く充。

 私も最初知った時に驚いたから、無理はないか。



「この人気投票のビリグループに入ってしまったご当地キャラは、その後一年間、過酷な労働を強いられるんだよ」

「えー。そうなんだ……。ゆるキャラの世界は、緩くないんだな」



 ご当地キャラは、いわゆるゆるキャラと呼ばれている。

 その名の通り緩い感じキャラクターが多いけれども、厳しい世界。

 生き残らないと、本当に違うキャラに変えられてしまうかもしれない。


「ちょっと私の推しキャラに触れ合いに行こう?」



 ◇


 私の県のご当地キャラ。

 金太郎の恰好をしたキャラ。


 その周りには、あまり人はいなかった。

 もっと可愛いキャラがいるからなのかな。

 金太郎だって可愛いと思うのに。



 私は、近づいて話しかける。


「あの、握手してください!」


 そうすると、金太郎君は、嬉しそうに頷いてくれた。


 金太郎をモチーフにしているからか、無骨そうな手をしている。

 その手と握手をした。


 やっぱり、金太郎君っていいな。



 金太郎君亜h私と握手すると、不器用そうな大きな手で、四角を作るようなジェスチャーをしている。


 これは多分、カメラのことだ!

 写真を撮ってもいいよって言ってくれてるんだ!


「充、お願い、ちょっと撮って!」

「え、いいよ」


 私は、金太郎君と腕を組んで、ツーショット写真を撮った。

 取り終わったら、去り際に私の方から金太郎君に抱き着いた。


「私、この写真大事にするね!」


 金太郎君は無骨そうな手で、グッドのポーズを決めてくれた。


 私の推しのご当地キャラ。

 私の大好きなご当地キャラ。

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