スターウォーズ

 ゴールデンウィーク後半戦の前半戦が終わっちゃったんだよ。早いよね。


 ――ピロン。


 なんじゃそりゃ。


 ――ピロン。


 ゴールデンウィークは、後半四連休になってるじゃん?そのうちの前半の二日分が終わっちゃったんだよていうこと。


 ――ピロン。


 相変わらずわかりにくいな。


 ――ピロン。


 せっかくのゴールデンウィークなのに、何もしないで家にいて過ごしちゃったよ。

 お金もないからどこにも行けないんだけどさ。

 明日なんかしよーよ。


 ――ピロン。


 じゃあ、明日俺んち来る?


 ――ピロン。


 行く!!



 私はベッドの中で、彼氏のたけるとのメールをしていた。

 寝る前はいつもメールに付き合ってくれる。

 返信も早いしとっても、良い奴。


 私の携帯に残った履歴を見返す。

 これは、すごい自然な流れでの家に行けることになったんじゃない?


 そんな意図は無かったとは言わないけど、すごくすんなりと事が進んだ。


 やった、やった!

 前にも一回だけ行ったことあったけれども、健の家にはとても大きいテレビもある。

 それで、前はマリオカートして遊んだりしたんだ。


 それと同じになるかな。

 明日は、いっぱい遊べるぞー!ふふ。



 ベッドの中で、私は嬉しい気分のまま眠りについた。

 ゴールデンウィークの一大イベントになりそう。



 ◇



 ――ピンポーン。


 事前に「今から行くよー」ってメールをして、「家の前についたよー」ってメールはしていたけれども。

 インターホンを押す時だけは少し緊張した。


「はーい」

香織かおりです」


 自己紹介でも無いのに、名前を言うんだよ。

 ちょっと、恥ずかしいよね。


 しばらくすると、健がドアを開けてくれた。


「お疲れ様。上がって上がって。今日は親もいないから」

「はい。お邪魔します」


 相変わらず広い家。

 玄関からして、なんだか広くて、綺麗。

 私の家とは大違いの家。


 健に倣って、靴を脱いできちんと並べる。

 こんな家の人が私の彼氏とか、すごい釣り合わないかもって思いながらも、健は私の彼氏。

 家族にも、友達にも鼻高々だよ。

 ……私がすごいわけじゃないけど。



「じゃあ、適当に座っててよ、飲み物出すからさ」

「はい」


 そう言って、大きなテレビのある部屋に案内された。

 この前もこの部屋で、マリオカートをしてたんだ。

 今日も、それで遊べるのかな。嬉しいなー。


 ソファーに座って待っていると、健は飲み物を持ってきてくれた。

 氷の入ったグラスに、黒い飲み物。

 アイスコーヒーなのかな?

 相変わらず、オシャレだね。


 ウキウキしながら待っていると、彼が口を開いた。


「今日はさ、せっかくだから映画鑑賞でもしようかなって思うんだ」

「おおぉ? この大きいテレビで見れるの? それはそれで楽しそう!」


 何の映画だろうな。

 恋人同士で見るんんだから、ラブロマンスとかなのかな。

 それを見て、雰囲気を高めて、キスとか。

 そういう考えもあるのかな。

 ふふ。妄想が広がるな。


 健は、映画のDVDのパッケージを見せて来た。


「じゃじゃーん!」

「えぇっと?」


 それは、宇宙の大戦争を描いたSF超大作だった。


「俺さ、スターウォーズが好きなんだ! 一緒に見ようぜ!」

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