清掃活動

 ゴールデンウィーク後半戦!

 行楽シーズンだから、どこか遠くに出かけたくなるよね。


 けど、今日は町内会の活動の一つ、ゴミ清掃の日なんだ。

 月に一回当番制で、近所のゴミを拾うの。

 そんなに乗り気ではなかったけれども、いざ外に出てみると、なんとなく気分が変わってきた。


 眩しい太陽の光。

 清々しい風。肌に降り注ぐ暖かさ。


 気持ちいい。



 そういう日が一日くらいあっても、ゴールデンウィークは良いかもな。いっぱい休みがあるからね。気にしない、気にしない。

 春の陽気は心を広くしてくれるかもしれない。



 暖かい日差しの中、ゴム手袋をして、ゴミ袋を片手にもって。

 ゴミばさみをもう一つの手に持って、準備万端。


 私はゴミ清掃開始前に、公園に集合した。


 そこには、幼なじみの拓海たくみの顔も見えた。

 拓海も、こちらに気付いて声をかけてきた。


「よぉ! 由美子ゆみこもゴミ清掃活動するのか?」

「そうだよー。偉いでしょ!」


「そうだな。ゴールデンウィークって、どこに行っても混んでるしな。外でのんびりゴミ拾いするのも気持ちいいよな」

「うん!」


 明るい笑顔を向けてくる。

 拓海の前向きな所が、意外と好きなところだったりする。


「それでは、説明の通りで。それぞれの場所のゴミを集めたらここに持ってきてください。じゃあ、ゴミ清掃を始めましょー!」


 町内会のまとめの方が、宣言をして清掃活動をする。


「由美子の清掃場所って、俺と同じところじゃん。一緒に回ろうぜ」

「いいよ! どっちがいっぱい集められるか勝負しよ!」


 公園から出て、茂みの方が私達の清掃場所だった。

 木陰に入ると、少し涼しさを感じるくらい。

 こういう場所も、この季節気持ちが良い。


「意外とゴミってあるんだな。こういうゴミってどこから来るんだろうな?」

「そうだね。風が吹いてきてここに溜まるのかな?」


 ゴミばさみで拾って袋に入れる。


「うわっ!」

「どうした?」


 ゴミを拾ったら、その下で虫が蠢いていた。

 びっくりして、思わず声が出てしまった。


 この季節って植物が育つ時期だけど、それと同時に虫も湧いてくるの。

 良くみると、色んなところに虫がいるみたい。

 緑色が好きだけれども、葉っぱの上には虫。

 ツツジの花も綺麗に咲くけれど、蜂が飛んでたり。


 極めつけは、さっき拾ったゴミの辺りに、あいつがいるのが見えた。

 通称『G』。


「ひぇーーっ!」

「あぁ、虫苦手だっけ?」


 私が叫んでいると、拓海が追っ払ってくれた。


「ほら、ゴミ拾いしようぜ」

「いや……。また出たらやだよ……」


 私がそう言うと、拓海が真面目な顔で言い返してきた。


「俺がついててやるから、頑張ろうぜ」


 拓海が先に虫がいないか確かめて、こっちにゴミを渡してくる。


「せっかく気持ちいいからさ、街綺麗にしてもっと気持ち良く過ごそうぜ!」


 その時、爽やかな風が吹いた。

 虫はいても、なんだか気持ちのいい季節に変わりは無いね。


 拓海が一緒に居てくれるなら。

 清掃活動っていうのも好きかもしれない。

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