コツコツやること

 休みが多いのは嬉しいことだけど、その分宿題も多いというのがゴールデンウィーク。


 しかも、ゴールデンウィーク明けにテストがあるという。

 学生に休ませる気がないじゃんって感じ。

 はぁ……。


 学生の本分が勉強だって言うけどさ。

 学生にとっての勉強は、大人にとっての仕事と同じってことだよね?

 だから、休みの日に仕事しろって言ってるのと同じだよ。


 信じられない。

 ブラック企業だよ……。


 どうなっちゃってるのよ、日本の教育。

 社畜を生み出すために出来ているカリキュラムだよ。


 そんな教育だから、大人になったら社畜まっしぐらで。

 お父さんも、家で仕事してたりするんだよ。

 どうにかして欲しいよ!


「……亜希子あきこ、心の声、全部漏れてるよ?」


 お姉ちゃんが、呆れながら私を見ていた。

 宿題をサボって、お姉ちゃんのベットの上で寝転びながらのんびりしてたら、ついつい愚痴がこぼれてしまっていたらしい。



「あ、ごめん。ついつい」

「まぁ、気持ちはわかるけどね。ちなみに、お父さんは『裁量労働制』っていって、時間じゃなくて成果に対して賃金もらってるからね」


「へぇー。じゃあ成果が出れば、仕事時間短くても良いの?」

「そうそう。だからお父さんって、たまに早く帰ってくるじゃん?」


「確かに?」


 私が納得していると、お姉ちゃんは続けて言ってきた。


「だから、亜希子も勉強が出来れば、勉強時間短くして、いっぱい遊べるんだよ」

「それは、確かにそうかも」


 ゴールデンウィークの勉強に関しても、なんだか納得してしまった。


「はい、じゃあ勉強しな」

「えー、けどさー……。私は、お姉ちゃんみたいに勉強出来ないもん……。なんでお姉ちゃんは勉強出来るの?」


 学年でトップの成績のお姉ちゃん。

 同じ兄弟のはずなのに、私は赤点ばかり。


「それは、毎日コツコツ勉強しているからだよ」

「毎日やるって言っても、お姉ちゃんが勉強してる姿、全然見てないけど?」


 お姉ちゃんは、得意げな顔をして言ってきた。


「コツがあるんだよ」


 ドヤ顔ってやつだ。

 なんだか癪に障る気がしたけど、勉強ができるお姉ちゃんのコツ知りたいな。


 私は寝ている姿勢から起き上がると、ベッド上に正座してお姉ちゃんにお願いした。


「お姉ちゃん、コツコツやるコツ教えて下さい」


 きちんとした土下座。

 私の誠心誠意を込めたお願い。


「ふふ。いいよ、教えてあげるよ」


 顔を上げると、優しい天使のような頬笑みを浮かべたお姉ちゃんがいた。


「じゃあ、やり方教えてあげるから、勉強道具持ってきな」

「はい!」


 コツコツやるお姉ちゃん。

 私も出来るようになるかな?


 お姉ちゃんみたいになれるなら、コツコツやること好きになろう!

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