四つ葉のクローバー
今日も、良い天気。
今はもう、GW前半戦だよ。
こんな行楽日和がないってくらい晴れてるの。
逆に腫れすぎて、行楽しにくいかもっていうくらい。ふふ。
風が気持ちいい。
暑いけれども、木陰に吹く風はどこか涼しい。
「いつもと同じ公園なのに、季節によって感じ方も違うものなんだね」
「確かにね。気持ちいいーー!」
彼は手を伸ばして、ベンチでくつろいでいた。
私と彼は公園デートなんだ。
本当は遠くに出かけたかったけれども。
金欠でね……。
お互い四月に誕生日っていうのは、ちょっとキツイよね。
同じタイミングで祝えるのは嬉しいけど、GW前には金欠だよね……。
誕生日をずらせば良かったのかなって思うけれども。
当日祝いたかっだからしょうがない。
GWはお互いに用事もないし、デートはしたいということで、行く場所が無かったからいつもの公園なんだ。
私からの提案だから、彼には少し申し訳ない。
「何も無いけど、こんなところでデートでごめんね」
「いいよ。それでも楽しいよ」
せっかくだから、何かしたいけどなぁ。
いつもと変わらない公園だけれども、季節は違ってきていて。
草が育っているのが目に入る。
「気持ち良さそうだから、そっちいってみよう!」
「うん!」
◇
私は、クローバー畑の上で寝転ぶ。
低い目線から見ると、クローバー畑はちょっとした森みたい。
彼も同じように寝転んだようで、クローバーの森から彼の顔が見える。
「遠くに行かなくても、すぐ近くでもいい所はいっぱいだよね」
「そうだね、幸せって近くにあるって感じるね」
私がそういうと、彼の顔が明るくなった。
「じゃあさ、一緒に幸せ探さない?」
「どういうこと?」
「このクローバー畑の中で、四つ葉のクローバーを探してみよう」
彼は無邪気に笑って、探し始めた。
ふふ。
こんな休日も良いかもね。
私は彼に提案した。
「じゃあ、先に見つけた方が勝ちね! 負けた方が、ジュース奢りね!」
「いいよ!」
彼と私は、一生懸命探し始めた。
クローバーをかき分けると、草の匂いが香ってくる。
四つ葉のクローバーって、もしかして探してる時も幸せなのかもしれないな。
「あ、あれ? もしかして私見つけたかも!」
「えーー、マジか……。本当だ、四つ葉のクローバーだ……。そしたら、俺の負けか……」
楽しそうだった彼の顔が少し曇ってしまった。
私から言い出した勝負だったけれども、ただ楽しみたかっただけなんだよ……。
私は、彼に四つ葉のクローバーを差し出した。
「もう、悲しそうな顔しないでよ。これあげるからさ」
「これ貰ってもさ。奢らなきゃなんだろ?」
私は笑って言い返した。
「ふふ。ジュースは買って、一緒に飲もう!」
四つ葉のクローバー。
幸せは二人で分け合うからいいよね。
私好きなんだ。ふふ。
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