モンスト

 私の名前は結衣ゆい

 高校二年生で、普通の女の子。

 流行りといえば、スマホゲームだけれども。

 最新のゲームとかはしないんだ。

 古くからずーっとあるゲームを楽しんでいる。


 私の周りでは、ずーっととあるゲームが流行っている。

 それは『モンスターストライク』。

 通称『モンスト』。


 学校が終わると、私はいつもスマホを取り出し、友達と一緒にモンストの世界に飛び込む。

 それはいつもの事だけれども。

 今日は特別な日。


 モンストの日なんだ。



 特に難しいステージが用意されているの。

 それに挑戦している。


 近くにいる訳じゃなくて、各々家でやってるの。

 電話を繋げて話しながら。

 最近のゲーム事情はこんな感じ。



 私は画面を見つめながら、息を止める。

 次は私の番だ。


 友達の番で、ボスのHPをかなり削ってくれた。

 けど、それでもまだまだHPは多く残っている。

 モンスターたちが画面上で躍動し、それぞれのスキルでボスを攻撃していくけれども、全然HPが減っていかない。


 けど、次のターンで蹴りをつけないと。

 私の指は緊張で震えている。


「これが最後のショット…….」


 心の中でつぶやく。

 ボスの弱点に印が着いている。

 そこを狙えばいいのだけれども、壁側にそれがあるのだ。

 どうにかボスと壁の間に入って、弱点を突く必要がある。

 そして、ボスの弱点に数回ヒットさせないと、倒せない。


「よし……。みんないくよ……」


 私の決意の声に、みんなは答えてくれた。


「大丈夫! 結衣ならできる!」

「結衣、どうに倒して!」

「私、報酬欲しい! お願いします!」


 みんなの期待を一心に背負って。

 その期待を一指に込める。

 スライドして、狙いをつける。

 ボスと壁の間。


 そして、放つ。



 ――カンカンカン。



 見事、狙い通りのスポットへと入っていった。

 壁とボスの弱点との間で連続で当たり、HPがグンと減っていった。


 そして、動きがスローモーションになる。


「やった!」


 私が思わずガッツポーズをすると、電話の向こうからも喜びの声が聞こえてきた。



 しかし、このステージをクリアするために、もう一つの大きな壁が現れた。


 あとは、みんなに任せるしかない。

 モンストは、友達との協力プレイ。

 私たちは、それぞれのモンスターを操りながら、互いの指先を信じる。


「この方向が良いよね?」

「うんうん、それがいいと思う!」


 特別ステージを進んでいくにつれて、私たちの友情は深まっていく。

 そして、ついに、最後のボスを倒すことができた。


「やったーーー!!」

「ありがとう、みんな!」



 私は心から感謝する。



 モンストはただのゲームではない。

 それは、友達との絆を深め、日常からの小さな逃避、そして何より、私たちの心を一つにする魔法のようなもの。

 それは、私の青春の一部。


 私はモンストが好き。

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