鉄腕アトム

 春休み、もうすぐ終わっちゃうんだよね。

 けど、家で遊ぶのも飽きてきたし。

 美沙ちゃんと図書館に来たんだ。


 春の暖かい気候で。

 外で遊ぶには暑いんだよ。夏じゃないのに、夏日ってどういうことだって思うよね。



「あ、涼しいー……」

「本当だー! これはいいね!」


 美沙ちゃんと、図書館の中で涼を取る。

 やっぱりきて良かったな。


「じゃあ、本読もうか」

「そうだね」


 美沙ちゃんは、本を取りに行った。

 私も何か読もうかと思ったけども。

 なんだか読む気にはならなかった。


 とりあえず暇だから来てみたけど、そういえば私、本読むの苦手なんだよね……。

 図書館の静けさの中うろうろと歩くと、視聴覚ルームというのがあった。


 少し入ってみると、中はカラオケルームみたいな、ちょっとした個室になっていた。

 テレビとDVDプレイヤーが置いてある。


 私が覗いていると、図書司書さんがやってきた。


「ここ、使ってみますか?」

「え……、あ……、はい」


 司書さんは、機器の操作を説明してくれた。

 なんだか、ここってアニメが見えるらしい。

 歴史に名を刻むアニメやら、映画が見れたりするらしいんだって。


 司書さんのお勧めって言うから、「鉄腕アトム」っていうアニメのDVDを入れてみた。


 DVDが再生されてすぐ、私は映像に見入ってしまった。



 初めて目にするアトムの冒険は、私の心を強く打ち、何か大きなものに触れたような感覚に包まれた。


 アトムは、天馬博士によって作られたロボットの少年。

 彼は人間と同じように感情を持ち、正義感あふれる行動で多くの困難に立ち向かう。

 その姿は、私たちにとっての理想像であり、未来への希望を象徴しているようだった。


 私が見たエピソードでは、アトムは自らの存在意義と人間との共存について深く考えさせられた。

 彼の冒険はただのアクションだけでなく、心に響くメッセージを持ってる。

 それは、私たち一人一人が持つ「優しさ」や「勇気」、そして「正義」について考えさせられるものだ。


 あっという間に見終わると、司書さんが後ろで見ていた。


「アトムって、時代を超えたヒーローであり、その物語はいつの時代にも色褪せることのない普遍的な価値を持っている」


「鉄腕アトム、とても良かったです。昔の作品だなんて思えないくらい、すごく良かったです!」


「うんうん」


 アトムの物語が教えてくれることは、私たちが日々忘れがちな大切なこと。

 それは、どんな時も前を向いて進む勇気と、心の底から湧き上がる優しさ。

 アトムのように、私もそんな存在になれたらって思うよ。


「私、鉄腕アトム好きになりました!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る