シーサー

 春の陽気が心地よい日。

 私は友達とフリーマーケットを歩いていた。


「こういう日は、掘り出し物が見つかるんだよね!」

「そう言って、真子まこはいつもキーホルダーしか買わないじゃん」


「ええー? そんな事ないよー」


 カバンには、ジャラジャラとキーホルダーが付いている。


「そんなことあるか。はは……」


 いつも、私は大量のキーホルダーをカバンにつけている。

 キーホルダーを集めるのが趣味なんだ。

 この子達って可愛くてね。見てるだけで、ポジティブなエネルギーを感じるんだよね。

 だから、キーホルダーを見つけると、ついつい買っちゃうんだ。


 その日も、新しいキーホルダーを探していた。


 フリーマーケットは色とりどりの店が並び、賑やかな人々で溢れている。

 幼い女の子から、おばあちゃんまで。

 色んな年代の人が自分の好きな物を売ってるんだよね。

 そんな場所だから、フリーマーケットって好きなんだ。



 フリーマーケットが並ぶ道を歩いていると、キーホルダーを売ってる人もチラホラといる。

 そんな中、一際目を引く可愛いキーホルダーがあった。


 赤と青の鮮やかな色合い。

 大きさは5cmくらいかな?

 小さすぎもせず、大きすぎもせず。

 調度良い大きさで。私のキーホルダーコレクションに入れたいって思った。


 そのキーホルダーは、可愛く笑って、こちらを見ていた。

 二つで一組のシーサーだ。


 シーサーは沖縄の伝統的な魔除けで、一つは口を開けて悪いものを吸い込み、もう一つは口を閉じて良いものを閉じ込めると言われている。


「おぉ、見てみて? これ、可愛くない?」


 加奈子かなこが言う。


「確かに、私も思った。なんだか、こちらを見つめてくるし。愛らしい顔……」

「ふふ、じゃあ買おうよ! これ私も欲しい!」


「加奈子が気に入るなんて珍しいね。じゃあ、これください!」


 そう言って、売り子のお姉さんにお金を渡した。


「ありがとうございます!」


 そう言って、お姉さんは私たちにシーサーのキーホルダーをくれた。

 そしてそれと合わせて、可愛くシーサーポーズをしてくれた。


「お礼のシーサーポーズです!」


 可愛いお姉さん。

 うふふ。いい買い物したなー。


「せっかくだから、シーサーを一つずつ分け合おう」

「ありがとう!」


 私たちは、それぞれのカバンにシーサーをつけた。

 私は、新しいキーホルダーに笑顔を見せた。

 そして、シーサーポーズをした。


「よろしくシーサー!」

「あ! それさっきのお姉さんがしてたポーズじゃん! 早速使ってる。ははは」


 新しく仲間入りしたシーサーも、笑ってる気がした。

 シーサーは、守り神だからね。

 これから、私たちを守ってくれるかな?


 私と加奈子が、笑って過ごせる日々を守ってください!

 私がシーサーにお願いごとをしていると、加奈子は笑って言ってきた。


「私も、このシーサー好きだな。真子みたいに笑ってて可愛いと思う!」

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