散歩へゴー!
春休みなんて、することが無い。
だから毎日、携帯片手に、ゴロゴローゴロゴローとベッドの上で過ごす。
時間になると更新される漫画があるから、それをローテーションしていく日々。
追っている漫画が見終わってしまったら、新しい連載漫画を探すんだー。
新連載も面白そうなのがたくさんあってね。
試験勉強とかで最近時間が無かったからね。
それで読めなかったものとか、チェックだけしてて溜まっているんだよ。
この春休みを機会にして、いっぱい読んじゃうんだー。
こんな風にして過ごしていると、大体一日が終わっているの。
春休みって短いよね。
――ピコン。
その時、携帯からメール通知があった。
「おはよう。元気?」
朝も早くからなんだろうな。
まだ、八時だからご飯も食べていないんじゃないかな?
「元気だよ。こんな朝早くにどうしたの?」
「今日暇だったらさ、一緒にお散歩しない?」
ほえ……?
散歩のお誘い……?
そんな誘いは今まで来たことが無かったけれども。
いつもだったら、カラオケとかゲーセンとかの誘いなのに。
たまに、買い物とか漫画喫茶に行こうっていうのもあるけれども。
けど、今日のお誘いは『散歩』?
私は、気になったので聞いてみた。
「別にいいけど、散歩に誘うなんて珍しいね。何かあったの?」
もしかすると、何か私とゆっくりと話したいことでもあるのかもしれない。
メールとか電話じゃ話しづらいから、直接っていう。
遊びとも違うから、敢えての散歩っていう選択肢かもね。
そうだよね。春になると、不安になったりもするかもね。
この春から、私たちは高校生になるわけだし。
私もこの機会に色々話そうかなー。
胡桃からゆっくりと返事が来た。
「ちょっとね、久しぶりに歩きたいなって思って」
これはやっぱり、何か悩んでいるみたいだな。
もしかすると、恋の悩みかもしれない。
ふふ。
友達の私が相談に乗ってあげないとだね。
「いいよ! どこ集合にする? 私はどこでも行くよ?」
「えっとね、駅前から伸びている川沿いをずーっと歩いて行く散歩がしたくてね」
なるほど……?
散歩コースをもう決めているのか?
あれ、そうなると本当に散歩したいだけなのかな?
ガチ散歩なのかな?
「ちなみに、どのくらい歩くつもりでいる?」
「えっとね、三万歩くらいかな?」
「……え、ガチで言ってる?」
なんでそんなに歩こうっていうんだろう。
明らかにおかしい。
胡桃って、そんなに運動とか好きじゃなかったはずなのに。
それは、現地で聞いてみないとだね。
「深いことは聞かないで! 一緒に付き合って、お願い!」
胡桃からそんな返事が来た。
私たちは親友だからね。
どんなお願いでも断らないよ。
私の心の中の気持ちはそうだけれども。
メールでは、胡桃に元気になってもらいたいからこういうの。
「わかったよ行くよ! 散歩にゴー!だね!」
「何それ? おかしいよ。ははは」
笑われちゃった。
まぁ、元気そうだから良いか。
胡桃から続けて返事が来た。
「散歩にゴー。その掛け声、好きだよ」
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