アパレルショップの店員さん
ファッションモデルってとっても憧れちゃうな……。
帰り道を歩きながら、いつも通り街のショーウィンドウを眺める。
綺麗に着飾ったマネキンがずらっと並んでいる。
やっぱり綺麗だよなぁ……。
いくつものマネキンを眺めていると、綺麗に磨かれたガラスに反射されて、私自身が映される。
ついつい、自分とマネキンを比べちゃうよね。
全然、体型が違う。
マネキンは、私と違ってすごく細い。
私もマネキンみたいに、あんなに完璧な外見を持っていたら、どんなに幸せなんだろうな……。
私は、こんなに太っているし……。
マネキンたちが着飾っている服はとてもかわいく見える。
あの服ってすごく可愛いけれども、私が着たとしても、あんな風に可愛くなれないんだろうな……。
マネキンに憧れながら見つめて歩く。
羨ましいけれども、夢は夢だから、良いんだよね。
いつかあんな感じになれたらなーって思うけれども、すごく辛いダイエットはしたくないわけで。
上手いこと叶ってくれたら嬉しいんだけれども。
いつまでも夢のまま。
私って、そういうところがあるからさ。
だから眺めてるだけでいいんだ.
そう思って眺めていると、一体のマネキンが笑ったように見えた。
私の考えていることに反応したみたいに。
「……えっ、笑った? 今の私の気のせい?」
私は目を疑った。
そんなことあるわけ無いよね……。
また見つめていると、今度はマネキンは手を振ってきた。
「……え? なんでなんで?」
マネキンは、そのまま店の入り口の方へと歩いていくと、店から一人出てきた。
「あー! やっぱり、
歩いてしゃべるマネキン……。
そんな物の知り合いなんていないけれども……。
かと思ったら、同じクラスの
「あ、結子じゃん! マネキンかと思っちゃったよ」
「えー? 普通間違える? あはは」
結子は笑って、おばちゃんみたいに手で否定してきている。
すごく腕が細くて、華奢な身体をしている。
羨ましいな……。
「あのお店の服って可愛いよね。一緒に見よ?」
「いや、私はいいよ。似合わないだろうし……。私、腕とか太いから……」
結子は少し困った顔をしたけど、私の手を引っ張った。
「体系とか、そういうのって気にしなくていいよ。奈緒美に似合いそうな服があったの」
「そうなの?」
私は結子に連れられて、しぶしぶ店の中に入る。
可愛い服を着たマネキンがいっぱいあった。
やっぱりダメだなって思ったら、店員さんがやってきた。
「いらっしゃいませー」
店員さんは、このお店の服を着ているのだけれども、体系としては私と同じくらい。
背丈も、横幅も。
私の口から、ポロっと言葉がこぼれた。
「……その服、可愛いです」
店員さんは、ニコッと微笑んで答えてくれた。
「ここのお店の服、良いですよね。私みたいな人が着ても可愛く着こなせるんですよ」
そう言っている店員さんはやっぱり可愛かった。
マネキンさんよりも、実際に服を着ている店員さんが着てくれているの、ありがたいな。
私、そういう店員さんって、好きだな。
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