さくらねこ

 私は、さくらねこに近づき、頭を撫でる。

 そうすると、私の手に対してスリスリと頭を擦り寄せてくる。

 私は、優しく声をかける。


「こんにちは、さくらねこちゃん。今日は何をしてたの?」


 私が話しかけているのは、耳が尖ってる猫。

 それは、不妊治療がされているという証なの。

 顎の下を撫でてあげると、この子はさらに喜ぶんだよね。


「にゃあー」


 猫は、まるで私の言葉を理解しているかのように、小さく鳴き返してきた。

 私は、その反応に心を躍らせながら、さくらねこの柔らかな身体の毛を撫で回した。


 野良猫のはずなのに、すごく綺麗なんでよね。

 誰かがお風呂に入れてあげてる気がするんだよ。

 間違いないはず。



 そんなさくらねこに対して、私は特別なプレゼントを用意していた。

 今日で春休み入ると、しばらく会えなくなっちゃうからね。



 私はカバンの中をゴソゴソと漁る。

 そうすると、さくらねこは私の方に身体を寄せてくる。

 私におねだりするように、ゴロゴロと鳴く。


 残念だけど、今日はおやつじゃないんだよなー。


 取り出したのは、小さな首。

 手作りの小さな首輪で、桜の花びらを模したチャームが付いている。

 私は、さくらねこの首にそっと首輪をかけ、猫が新しい装飾を気に入ってくれることを願った。


「にゃあ!」


 可愛く目を細くして私を見てくる。

 ちょうど笑ってるように見える。


「喜んでるようで、良かったよ」


 さくらねこは、新しい首輪をつけられたことに最初は少し驚いた様子だったが、すぐに慣れて、嬉しそうに美咲の足元を軽やかに歩き回った。


「にゃあにゃあ!」


 私は、その姿を見て、自分がさくらねこにとって大切な存在であることを実感した。


 今日は午前授業だったから、ちょうどお昼過ぎ。

 お腹も空いてるかもしれない。

 さくらねこが求めてると思う『餌』もあげることにした。


「食べ終わるまでは見ててあげるからね」


 ――グー。



 私の方もお腹空いてきちゃったな……。

 しょうがないから帰ることにしようかな。


 私は、さくらねことの別れを惜しみながら、家へと帰る準備をする。


「にゃあ!」


 さくらねこは、私が去るのを寂しそうに鳴いてくる。

 学校は無いけど、明日も来ようかな。

 よし、そうしよう。


「ねこちゃん。明日もまた来るからね。」


 さくらねこは、お腹が空いてると思うのに、一旦食べるのをやめて、私についてきてくれた。

 私を見送ってくれてるみたいに。


 可愛い首輪を付けてる。

 私の猫って訳じゃないけれども、地域の人みんなで飼ってるような猫。


 さくらねこって可愛いな。

 私、君のこと好きだよ。

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