週刊少年漫画雑誌

 週刊少年漫画雑誌。

 私は毎週楽しみに読んでるんだ。

 それって、男の子だけが読むものだって思ってるでしょ。


 最近では、そういう雑誌って、女の子も読むんだよね。

 私も毎週読んでるんだよ。


 女の子だってワクワクが好きなんだー。


 毎週、発売する曜日には、早起きしてコンビニに駆け込むの。

 なんで早起きかっていうと、深夜に歩いてると補導されちゃうんだ。

 だけどね、朝は平気なんだよ。


 私はどうしても早く読みたくてね。

 どうしたら早く読めるのかなっていうのを、お父さんに相談したんだ。

 そうしたら、朝早く買いにいくのがいいよって言ってくれたの。

 そうすれば、月曜日から早起きする練習にもなっていいだろうって。


 お父さんは、的確なアドバイスをくれるから好きなんだ。



 お父さんは、ちゃんと詳しい話も教えてくれてね。

 子供が補導される時間っていうのは、夜の十一時から朝四時までなんだって。

 だから朝四時以降だったら、出歩いても良いんだって。

 なんか、そのあたりの事情に詳しいんだよね。



 別に警察官っていうわけでもないお父さん。

 なんでそんなこと知ってるのかって不思議だったから聞いたんだ。


 そうしたら教えてくれたの。

 お父さんは、昔、新聞配達のバイトをしてたんだって。

 その時に聞いたことらしいんだよ。


 お父さんは、朝四時からの新聞配達をして、その後に週刊少年漫画雑誌を買ってたらしいの。

 だからなのか、私が早く読みたい気持ちも分かるって言ってくれたんだ。


 お母さんは、あまりいい顔してないけれども……。



 お母さんを悲しませるのも嫌だから、良いと言われていても、毎週ちゃんと許可を取るんだ。


 日曜日の夜になると、お父さんとお母さんに聞く。

 ちなみに、お父さんって、何故か日曜日の夜は機嫌が良いんだよね。


 お気に入りのテレビを見ながら晩酌をしてくつろいでるお父さん。

 頬を赤らめた状態で 「あはは」と笑っている。


 私は、おずおずとお父さんの隣に座る。


「お父さん、明日も、朝買いに行っていいですか?」


 お父さんは、ニコニコして私に言ってくる。


「お、いいぞー! ‌ついでに、朝食べるご飯でも買ってきてもらおうかな」


 よしよし、ちゃんと了解は取れた。

 機嫌も良いし、嬉しいな。

 ついでに、こういう時におねだりするのが良かったりする。


「うん! 朝ごはん買ってくるね。そしたら、その分のお小遣いちょうだいね」

「おう、良いぞ。財布に小銭たまってたから、それで良ければ全部あげるよ」


 気前が良いお父さん。

 ふふ、嬉しいな。


「あと、買ってきたら、お父さんにも読ませてくれよ。お父さんも毎週楽しみにしているからな」

「わかった。いいよ! 私が読み終わった後ね!」


 少年漫画雑誌は、私みたいな女の子も夢中にさせるし。

 少年じゃないお父さんみたいな人も夢中にさせてるんだ。


 やっぱり、面白いって思うもん。

 私は、週刊少年漫画雑誌、大好きなんだ。

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