エクストラステージ
期末テストが終わった後の授業は、楽ちん。
テストに出るところとか、気にしなくていいんだよ。
ゲームで言うところの『ボーナスステージ』みたいだって思っちゃうな。
もう少し正確に言うとすれば、『エクストラステージ』かな?
ゲームクリア後に遊べる追加ステージって感じ。
なんだか、授業も半分遊びみたな雰囲気あるし。
ははは。
我ながら、これは言い得て妙だよね。
ちょっと誰かに言ってみよう。
昼休み明け。
隣の席の
「ねぇねぇ、梓。三月の授業ってさ、なんだか『エクストラステージ』って感じだよね」
「えぇ? 『エクストラステージ』?」
梓は、初めて聞いたような声を出して、首を傾げた。
「……あれ通じないの? 私の渾身の例えなのに。普通のコースとかと違って、スネージクリアしてからしか行けないあれだよ、あれ」
「そんなこと言われても分からないものは分からないよ。もっと私の分かる例えをしてよ」
うーん。
良い例えだと思ってたのにな……。
「じゃあね、あれだよ。太鼓叩くゲームで、もう一回遊べるドンって言うやつ」
「あぁーーー! 高い得点を取ると、もう一曲遊べるよね。あれ出来た時、テンション上がるよ! 『エクストラステージ』って言うんだ!」
梓がやっと『エクストラステージ』を分かってくれたようだった。
これで、同意が得られるかも!
「分かってくれた?! 三月の授業は『エクストラステージ』っぽいよね!」
私がワクワクして確認してみると、梓は首を捻っていた。
「うーん……。けど、それはよく分からないな……」
「えぇー……。良い例えだと思ったのに」
そんな話をしていると、昼休み終了のチャイムが鳴る。
チャイムと同時に、日本史の先生がやってきた。
そうか、次の授業は日本史か……。
日本史って、いつも眠くなる授業なんだよなぁ。
寝てる生徒がいたら、すごい怒るんだよね。
けど、いつもの先生と違って、なんだかニコニコとしていた。
「よしみんな。今日の授業は、『エクストラステージ』だぞーー!」
先生の言葉に、私はハッとして梓の方を見た。
梓も、同じ顔をしてこちらを見ていた。
私と梓は二人で顔を見合せた。
「「エクストラステージ!!」」
「おぉ? そこの二人はどうした? そんなに嬉しいのか? 今日は試験とか関係なく、先生の好きな歴史上の人物を語ろうと思うんだ! 楽しんでくれ!」
先生はそう言うと、クラスに一台あるテレビをつけて、動画を再生させ始めた。
「今日は、先生の好きな『新撰組』について、ひたすら話そうと思うぞ!」
『新撰組』は、あまり分からないけれども、エクストラステージの授業っていうのは、やっぱり特別感があって良いな。
私は、こういう授業好き。
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