スイーツ

 お昼休みに、校舎を抜け出してコンビニへと行く。

 うちの学校は、購買とか学食もないから代わりにコンビニが校内にある。


 春も近いというのに、寒い雨が降っている。

 この季節の雨が、気持ち的にも一番寒い気がする。


 連日暖かかったから、身体がなれないのかもしれないし。

 少し薄着だし。


 スカートから見える足は、とても寒そうに見えることだろう。

 その通りです。

 見た目の通り、すごく寒いです。


 先輩もすごく寒そうに見える。

 傘をさしていて、上半身は見えないが。

 見える下半身部分が寒そうに震えている。


 スカートからすらりと伸びる足は、華奢で。

 だからなのか、なんだか守ってあげたくなっちゃうみたいな気分になる。


 私は、先輩の横に並ぶ。


「先輩。私が温かいものでも買ってあげましょうか?」

「いや、私は後輩からはおごられないのだよ。代わりに私が一緒に買ってあげよう」


 私よりも背の低い先輩。

 頭一つ分くらい違っていて、小さくて可愛いんだ。


 良い位置に頭があるから、えらいえらいって褒めてあげたくなっちゃう。

 我慢しきれなくて、いつもポンポンと先輩の頭を撫でるんだ。


「なんで私の頭を撫でるんだ。そこは、ありがとうございますって君が頭を下げるんだよ」

「いやー、先輩はいつも偉いですよ。偉い子は褒めてあげないと」


 そんなやり取りをして、心だけは温めながらコンビニへと向かう。

 コンビニに着くと、雨が降っていて誰も外出したがらないのか、お客さんは少なかった。


 こういう日は、売り切れ商品もないから好きなんだよね。


 私のお目当ては、食後のデザート。

 いくら寒いっていっても、冷やされているスイーツは食べたくなるもの。

 私が、スイーツの欄を見ていると、先輩が後ろから声をかけてきた。


「それで、どれが欲しいんだ?」

「ちょっと待ってくださいね、今選んでいるところです」


 定期的に新作が出てくるコンビニスイーツ。

 そのたびに新作を食べているんだ。

 どれも、とても美味しいの。

 先輩が初めて見るように言った。


「なんだか、いっぱい種類があるんだな」

「そうですよ。コンビニスイーツって最近進化がすごいんですよ。有名シェフとコラボした商品だったりもあったりするのです」


「へぇ、そうなのか。なんか美味しそうだから、私も買おうかな。どれが一番オススメなんだ?」

「そうですね。やっぱりイチゴ系のスイーツか、抹茶系のスイーツか。季節に合わせた味の方が旬を味わえて美味しかったりしますよ」


 私は先輩と、「あれも良いなー」「これも良いなー」とスイーツを一緒に選びあった。

 いつもと違って、人がいないコンビニは、私と先輩の楽園みたいだった。

 スイーツの楽園。


「先輩、私と違うのにしてくださいね。それで、違う味を二人で分け合いましょう」

「それも、悪くないな。二つの味が楽しめて」


 決めたスイーツを持って、レジを済ませる。

 先輩に買ってもらったスイーツは、私が持つ係。


 二人で傘を差しながら、校舎へと戻る。

 これから、先輩と二人きりの場所で食べよう。

 文字通り甘い時間だよね。


「あ、ちょっと先輩ー。雨なのに、早歩きしないでくださいよー。濡れちゃいますよー」

「寒いから、早く戻りたいのだ」


 ふふ。

 私はこういう時間が好きだったりする。


 先輩と食べるスイーツ。

 甘くて美味しいんだろうな。


 やっぱり、好き。

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