お土産選び

 春の日差しを浴びながら、京都の古い町並みを歩く。

 高校生の私は、修学旅行で訪れたこの街の魅力に再び心を奪われていた。


 あの時は友達と騒がしく歩いたけれど、今回は一人でゆっくりと。

 味わうように一歩一歩を踏みしめる。


 修学旅行の時は秋だったな。

 季節も違うからか、見える景色が全然違って見える。



 私は、とあるお寺へ向かって歩いていた。

 特に印象に残っていたのは、訪れることができなかったあのお寺なんだ。


 桜の花びらが舞う中、石畳を歩きながら、私は歩みを進めた。



 一人で散策というのも、楽しい。

 お寺へ着いて、そこでも一人で静かにお寺を堪能した。

 なんだか、心が洗われるよう。


 緑苔が生い茂る庭園を眺めながら、私はふと、修学旅行のことを思い出す。

 クラスメイトとの笑顔、先生の優しい声。

 そして、あの時は見逃した景色が、今、目の前に広がっている。


 この瞬間を、私は大切にしたい。


 思い出のアルバムに、追加で一ページを差し込む。

 この思い出の一ページが、大事なんだ。



 お寺を後にし、京都の街をさらに散策する。

 小腹が空いたので、甘味処で抹茶と和菓子を楽しもうと、お店へと入る。

 修学旅行中は、慌ただしくお寺巡りをしていたから、こういうお店にも入らなかったんだ。

 今日は時間もたっぷりあるし。


 しばらく待つと、注文した品が来る。

 甘味が来るまでのワクワク感も良いし、甘味は見て楽しめる。

 しばらく目で楽しんだあと、和菓子を口に入れた。

 甘さと苦味が絶妙に混ざり合い、旅の疲れを癒してくれる。


 ゆっくりと食べ終わると、お店を後にした。

 最後に計画していたのはお土産選びだ。

 駅の近くの店先には、さまざまな京都らしい品々が並ぶ。


 扇子、ちりめんの小物、そして美しい柄の手ぬぐい。

 どれもこれも魅力的で、選ぶのが難しい。

 でも、その難しさがまた楽しい。


 一つ一つ手に取り、その品物が持つ物語を想像する。

 これは誰にあげようかな。

 選び方が逆かもしれないけれども。

 それくらい品物が良い物に見えてしまう。


 品物が良いから、これを誰かにあげたい。

 あの人なら喜ぶかもしれない。

 そういう風に思える。



 見るだけでも、楽しめるというのは、とても素晴らしい事だって思う。

 花を愛でるように。


 自然と心に幸せが芽生える気持ちだ。



 京都の思い出は、また一つ増えた。

 心の中で、私は微笑んでいる。

 そして、次の旅への夢を描き始めるのだった。


 春休みは、長いから。

 私は、一人旅を楽しむんだ。



 夕暮れ時、手にはたくさんのお土産袋。

 足取りも軽やかになり、私はふと思う。


 お土産選びって、楽しいね。私はこういう時間も好きだな。

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