ミニチュア
高校2年生の美咲は、いつものように放課後、自室でミニチュアの世界に没頭していた。
彼女の部屋は、小さな家具や食器、そして手作りの人形で溢れている。
それぞれのミニチュアには、美咲の細やかな愛情が込められていた。
「これは新しく作ったテーブル。本物の木を使って、サンドペーパーで磨いたんだ」
美咲は、ミニチュアを見ながらつぶやく。
彼女にとって、ミニチュア作りはただの趣味ではなく、心を込めた表現の一形態だった。
「あぁ、これ。色合いがまだ仕上がってないな……。乾いてきたから、もう一回色塗りしようっと」
それが彼女の日常であった。
◇
ある日、親友の絵里が遊びに来ることになった。美咲は、絵里に自分のミニチュアコレクションを見せるのが楽しみで仕方がなかった。
「絵里にも、この小さな世界の魅力を分かってほしいんだ。友達に見せるの、初めてなんだよ……ちょっと恥ずかしいかもだけど……」
美咲はミニチュアの家具一つ一つに埃を払った。
絵里が家に到着すると、美咲は緊張と興奮で心臓が高鳴るのを感じた。
「……こういうの、どうかな?」
美咲は、恐る恐る紹介を始める。
「これは私が一番気に入っている食器セット。小さなフォークやスプーンまであるんだよ」
美咲は優しく説明した。
「こっちは昨日色塗りしてみた食器棚なんだ……」
美咲の説明を聞いて、絵里は「うんうん」と頷いて聞いていた。
そして、絵里は興味深くミニチュアを眺め、美咲の情熱を感じ取ったようだった。
絵里の目がキラキラと輝くのを見て、美咲は安堵した。
「美咲ちゃん、これ全部自分で作ったの? すごいね!」
絵里がそう言うと、美咲の心は暖かい光で満たされた。
絵里も、恐る恐るといった感じで、持ってきたカバンからミニチュアを取りだした。
「……今日は、ミニチュア見せてくれるって言うから、私も持ってきてみたんだ。美咲ちゃん程じゃないけど、私もちょっと作ってみたりしてるんだ」
「そうだったの! それ可愛いよ! 私は家具ばかりだけど、服とかも作れるんだ! すごいすごい!!」
今度は、美咲の目が輝いていた。
絵里も、自分の作ったミニチュアを語り始めた。
◇
二人は何時か語り合っていたが、まだまだ語りきれずに、話ながらお互いのミニチュアを眺めていた。
夕暮れ時、二人はミニチュアの家具に囲まれて。
お茶を飲みながら、これから作りたいミニチュア
について語り合った。
「ミニチュアというのは、とても可愛いんだよね。もう、私の人生と言ってもいいよ。私はミニチュアが好き!」
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