プチ

 おやつ同好会というものがある。

 私はその同好会のメンバーだ。

 私と加奈かなが勝手に呼んでいる集まり。


 最初は、試験勉強なんかを一緒にしてただけなんだけれども、そのうち勉強しながらおやつを食べ始めたんだよね。

 そうしたら、とても勉強が捗って。

 おやつも美味しくて、色々食べ出すようになったんだ。

 その度に話も弾んで、勉強も捗って。


 それで、段々と目的が変わっていったんだ。

 おやつがメインになって。

 勉強の方がオマケになっていった。


 なので、私と加奈が集まる時は、おやつを食べることが活動の目的になったの。




 今日は、おやつ同好会の活動日なのです。

 二人で教室の隅に集まり、おやつを披露し出す。


 持ち寄ったおやつを、食べる都度出していく。

 私は、取っておきのおやつを取り出す。

 そうすると、加奈が反応してくれる。


「何、その味?」


「知らない? ‌これ、今だけの味なんだよ?」


 私の好きなお菓子の『プチ』。

 クッキーやら、ポテトチップスやら、そういう形をしてるんだけれども、少し小さめなんだ。

 女子のひと口を考えてくれるお菓子。

 名前からしても、小さめをイメージしてるの。


 とっても食べやすいの。

 縦に長い入れ物に入っていて、その容器を引き出して食べるんだ。


 色んな味がある。

 全部で24種類。

 それに加えて、大人プチっていうのも7種類あって、全部で31種類。

 私が知ってる限りだけれども。

 本当はもっとあるのかもしれない。


 この特別な味は、この日のために用意してた。

 なんて言わないけれども、珍しい味を持ってきたんだ。


「カフェオレクラッカーっていう味だよ。‌一緒に食べよっ!」


「何それ、美味しそう!」


 加奈は、私が出したお菓子を見て、目を輝かせていた。

 その様子を見て、私は嬉しくなった。



「ふふ。テストが終わってしばらく集まりが無かったからね。久しぶりのオヤツ部で、‌気合い入れちゃった」


「そうだよね、今まで頑張ったもんね。赤点は避けられるといいなー」


「大丈夫だよ、私たち頑張ったからね!」


「そうだそうだ。私も持ってきたよ! ‌特別なヤツ!」


 加奈は、そう言うと私と同じくプチを出してきた。

 私の知らない味。


 加奈は、ニコニコ笑って言ってきた。


「プチアヒージョだよ!」

「いいないいな! 私のと‌交換しよう!」

「はいどうぞー!」


 加奈と、お互いのプチを交換した。

 貰ったプチアヒージョを食べてみると、当たり前だけど初めて食べる味がした。


「「これ美味しい!」」


 加奈も、私が渡したカフェオレクラッカー味を食べて感想を言っていた。

 私と加奈は、声が合わさったことで笑いあった。


 プチって分けあえて、楽しい。

 私、プチが好き。

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