私は猫が好き。

 見てるだけで癒されるよね。

 すごく可愛い。


 猫を見ている間だけは、現実から離れられるよね。

 部活がうまくいかなくても、テストが赤点だったとしても。

 猫が癒してくれる。


 けど、そんな嫌なことがあったなんて、誰にも言えないから、私は一人で猫カフェへ行く。

 友達から、同情されるのも嫌だしね。


 同情されると、その場に負のオーラが溜まる気がするんだ。

 可愛い猫ちゃんの前で、負のオーラを出しちゃうなんて、そんなことあってはいけない。

 だから、一人で猫カフェに行くんだ。



 学校帰り。

 友達と帰るのを断り、私は一人で駅の猫カフェに向かった。


 駅ビルの上層階に猫カフェがある。

 猫カフェの外には、大きなガラスの窓があり、そこから中の様子が見える。


 今日は、他のお客さんもいないみたい。

 私一人で猫ちゃんを独占できそうだな。

 よしよし。


 そう思って眺めていると、猫カフェの中にいる猫がこちらを見てくる。

 猫たちは、お客さんを求めてるように手招いてるように見える。

 こういう姿が可愛いんだよな。


 あっ。ちょうど、私のお気に入りの猫ちゃんもいるみたいだ。

 その子も、こちらを向いて顔を洗っているようだった。

 こんな猫カフェ、今日は最高の日かもしれない。



 私はすぐに猫カフェに入ると、受付を済ませた。

 通行証のような、首から下げる番号札をもらう。

 猫のいる部屋へと入っていった。


 何回も来ているからか、部屋に入ると猫たちはすぐに私に寄ってくる。

 立っている私にしっぽを擦り付けて来る。


「にゃー」

「にゃーーん」


 猫ちゃんと目が合う。

 猫ちゃんは、二ッと笑うように目を細めてこちらを見つめてくる。

 こ、これは、限界突破してしまうよ……。


「はぁぁぁあぁぁ……。可愛い……」



 ついつい、変な声が漏れてしまった。

 すぐに周りを確認したけれども、やっぱり私一人。


 よしよし。

 私、一人だから。

 大丈夫一人だから。

 変な声も漏らし放題だ。


 とりあえず落ち着こうと、私はソファに腰掛ける。

 すると、私のお気に入りの猫ちゃんが近づいてきた。


 この子は、ヒマラヤンっていうんだよね。

 身体の毛は白くて長くて、顔だけ黒っぽい毛になってる。

 凄く上品な感じがする子。


 この子良いんだよね。


 そう思ってると、私におなかを見せて、仰向けで寝転がった。



「はぁああああああ……!」


「にゃーん」


「かわいいいいいいいいい!!!」


 私の反応に、猫ちゃんはお腹を見せたまま身体をくねくねとしている。


「撫でて欲しいんだね。いいよいいよ」


 私はゆっくりと撫でてあげた。

 そうすると気持ちよさそうに大人しくなった。


 次の猫も、次の猫も、私に近づいてきて私に身体を擦り付けてくる。


 今日は、最高の猫の日だな。

 猫に埋もれて、幸せ……。



 私はやっぱり、猫が好き。

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