アイラブミー

 私は英語が苦手だ。

 でも、英語の先生は大好き。


 先生は金髪碧眼の綺麗な女の人で、いつも笑顔で話しかけてくれる。

 眼鏡をかけていて、すごく知的にも見える人し、私の尊敬する先生。



 先生は日本語も上手だけど、授業ではほとんど英語で話す。

 私は先生の話す英語が聞き取れないことが多いけど、先生の声が好きだから、耳を傾ける。


 今日の授業では、自己紹介を英語でするという課題があった。

 私は緊張して、何を話そうかと考えていた。

 私は自分のことを話すのが苦手。

 自分には何も特徴がないと思っているし、私は自分のことを好きじゃない。

 こういう時、何を紹介すればいいんだろうな……。



 考えていたら、すぐに私の番が来てしまった。

 私は立ち上がって、先生の方を向いた。

 先生は優しく微笑んで、私にエールを送った。

 私は深呼吸して、話し始めた。


「私の名前は……」


 私は自分の名前を言った。

 それから、年齢や趣味や好きなものなどを言った。

 でも、ほとんど全部日本語で言ってしまった。


 私は英語が出てこなかった。

 私は焦って、先生に助けを求めた。



「先生、英語でどう言えばいいですか?」


 先生は私の言ったことを英語に訳してくれた。

 そして、私の言葉をそのまま繰り返さずに、少しアレコレを加えてくれたようだった。


 先生は私の言葉を褒めてくれた。

 普段は英語しか話さない授業だったけれども、先生は日本語で伝えてくれた。


「あなたはとても素敵な女の子です。あなたは自分のことをもっと自信を持って話してください。あなたは自分のことを好きになってください。アイラブミーと言ってください?」


「え、えっと……。アイラブミー……」


 先生はそう言って、私にアイラブミーと言わせた。

 私は恥ずかしくて、小さな声で言った。



「もっと大きな声で言ってください?」


 先生は真面目な顔で私に訴えかけてくる。

 私はもう一度言った。


「アイラブミー……」



 それでも私の声は小さかったらしくて、先生はもっと大きな声で言ってくださいと言った。

 私はもっともっと大きな声で言った。


「アイラブミー!」


 私はそう叫んだ。

 すると、教室中が拍手と歓声で溢れた。

 私は周りの友達の顔を見た。

 みんなが私に笑顔で応えてくれた。


 私は先生の顔を見た。

 先生は私に誇らしげに微笑んでくれた。


 私も、ついつい笑顔になってしまった。

 なんだか、嬉しくなった。


 英語で言うと、なんだか自分じゃないみたいに聞こえる。

 こんなこと言ったの初めてだ。


 先生が、私に言ってくれる。


「ベリーグッドです!」


 そして、着席して良いよと言ってきた。

 私が着席すると、次の人が指されて自己紹介を始める。


 私は、次の人の発表が頭に入ってこなかった。

 先生から言われた言葉が頭の中を回ってる。


 アイラブミーか……。

 私も自分を好きになってみようかな……。

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