双子

 昼休み。

 みんな自分の持ってきたお弁当を食べる時間。

 今までは、みんな一人で自席で食べていた。


 けど、最近では、流行り病もおさまってきたから、自由に友達と食べることができるようになったんだ。

 そうなったことは、良いことだけれども。

 みんな、だれか友達と一緒にお弁当を食べている。

 私は、いつも一人でお昼ご飯を食べている……。


 友達ってどうすればできるんだろうな。

 私だけじゃないかな、一人で食べているの。

 未だに友達ができないとなると、四月になって新しいクラスに期待するしかないかな。


 こんな私でも、それなりに話す子はいるんだよ。

 けれども、こういう時間には、みんなお気に入りの友達と一緒にいる。

 せっかくだから、このクラスにも友達が欲しいなぁ。


 思っててもできないっていうのは知っているけれども。

 何か動かないとだよね。

 近くの席をちらっと見ると、楽しそうに談笑してお弁当を食べている。


 うぅ……。

 誰かに話しかけようにも、難しい。


 あ、一人で食べている子がいる。

 よし。頑張って話しかけてみよう。

 確か名前は……。


「……莉緒りおちゃん。お弁当、一緒に食べよう」


 私が話しかけると、莉緒ちゃんはニコッと笑ってくれた。


「いいよー。もう少ししたら、もう一人来るけど良い?」


 受け入れてくれた。嬉しい。

 頑張ってみるものだね。

 私は答えた。


「いいよ、いいよ。いっぱいいる方が楽しいし」


 一気に二人とお友達になれるかも。

 ふふ。嬉しいことこの上ないです。

 私と莉緒ちゃんが、それぞれお弁当箱を開けて食べ始めようとすると、もう一人の子がやってきた。


「あれ? 莉緒、その子誰だっけ?」

「新しいお友達の真由美まゆみちゃん」


 莉緒ちゃんは、私のことを紹介してくれた。

 新しく来た子に、私はぺこりとお辞儀をした。


「初めまして。真由美です」


 顔を上げると、莉緒ちゃんが二人いるような錯覚があった。

 というか、同じ顔している?


「どうも、真由美ちゃん。莉緒の姉の美緒みおです」

「姉? どういうこと?」


 私が疑問に思っていると、莉緒ちゃんが答えてくれた。


「私たち、双子なんだ。似てるでしよ?」

「同じ顔に見えたでしょ?」

「「ねぇー?」」


 莉緒ちゃんと、美緒ちゃんは顔を見合わせていた。

 そのあと一緒になって私の方に振り向いてきた。

 確かに、同じ顔をしている。

 声も同じ感じだし。

 すごく仲良さそうに、笑いあっていた。

 莉緒ちゃんが話し出す。


「私が、仲良くなれそうと思ったから、美緒も多分仲良くなれるよ!」


 美緒ちゃんも同じようなことを言う。


「確かに、優しそうな顔してるね。せっかく一緒に食べるからさ、お弁当のおかず交換しよう!」

「確かに、美緒とじゃ、おかず交換しても楽しくないんだよね。同じお弁当だからさ」

「「ははは」」


 二人とも息をそろえて笑っていた。

 なんだか、双子って分かり合っている気がしていいな。


「ねえねえ、どんなおかずが好きなの真由美ちゃんは?」

「私たちが、二つ分あげちゃうよー」


 優しい双子の二人。いいな、双子って。

 私、好きだな。

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