忍者

 朝日が見える。

 気持ちの良い朝だー。


 私は、布団の中で、身体を伸ばす。

 布団は暖かいとはいえ、それを貫いてくる寒さっていうのもあって。

 布団の中で丸くなって寝ちゃうんだよね。


 朝日で起きれるなんて、幸せな休日だな。

 朝日が見えるっていうことは、もう8時くらいになっているのかな?


 うん……。

 八時だ……。


 あれ……。

 今日って、何曜日だっけ……?



 そこまで考えると、妹が部屋に入ってきた。

「お姉ちゃん! 寝坊だよ! もう八時だよ、学校行かないと!」


 私は、その声を聞くなり、ガバッと起き上がって、布団をベッドの下へと追いやった。

「……だよねっ! 今日はまだ、金曜じゃん!」

「そうだよ、昨日夜更かししているから、そうなるんだよー」


「やばいやばい、早く準備していかないと!」

「ほら、手鏡に、制服に、朝ご飯に、歯ブラシ。全部持ってきたよ」


 わお。

 なんて、準備が良い妹。


「ありがとう。すぐ準備する!」


 私よりも、一つだけ年下の妹。

 すごくしっかりしてるんだよね。


 持ってきてもらったもので、すぐに準備を済ませると、家を出る。


「行ってきますー!」



 家を出ると、二人で走り出す。

 妹の方が先へ走って、私が追いかける。

 妹は、運動部に入っているから体力もすごくあるんだよね。

 それに比べて、私は全然なくて。


 ぐんぐん距離が離れていく。

 せっかく一緒に出たのに、おいていかれる……。


 すると、妹は信号のところで止まっていた。

 そのおかげもあり、やっとのことで追いついた。


「歩行者信号、変えておいたよ! 続きの道、また走ろう!」

「ほぇ。ちょっと、まってー……」


 起点を利かせてくれて、時間的にはとても助かるんだけれども。

 私は、休みなしで走らされた。


 家から学校まで、20分くらい。

 信号に引っかかることもなく、学校までノンストップで走る。

 私体力ないのに。

 鞄を持ちながら、そんなに走れないよ……。


 そう思っていると、妹が私に近づいてきて、荷物を持ってくれた。


「お姉ちゃん、頑張ろう!」


 すごく助かる。

 そんなことまでしてもらったら、私も頑張らないとだな。


 そう思って、学校までの道を駆け抜けた。



 ◇



「はぁはぁはぁ……」

「お姉ちゃん、大丈夫?」


 どうにか、ホームルームが始まる時間の前に、学校へと着くことができた。


「……ありがとう」


 校門へ差し掛かるところで、さりげなく、私に鞄を返してくる妹。

 それで、私に手鏡を向けて、寝癖が直りきっていないところを、指摘してくれた。


 何から何まで。

 至れり尽くせりな妹。


「じゃあ、お姉ちゃん、今日も頑張ってね! 私は行っちゃうね!」


 そう言って、妹はまた駆けていった。

 どんだけ体力があるんだろう。すごいな……。


 そう思っていると、友達が私に声をかけてきた。


「おはよう! 今日も元気そうだね!」

「おはよう。どうにか、遅刻せず間に合ったんだよ……」


 そんな話をしながら、友達と教室へと向かった。

 私は、ホームルームに間に合うことができた。


 それも、これも、妹の丘替えだな。

 妹は、人前に出ないで、隠れて活躍していて。

 あんなに体力もあって。

 まるで、忍者みたいだよね。


 それって、すごくカッコいいって思うな。

 私は、好きだな。

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