タウン情報誌
タウン情報誌。
ページを開くとオシャレなカフェ情報や、バン屋さんの情報がいっぱい載っているんだ。
憧れの街に訪れているような感覚。
キラキラした世界がそこに広がってるの。
都会っぽい、カッコいいモデルさんが出てたりもするし。
「はぁー。憧れるー……」
「いいよねー」
昼休みは、友達と月刊誌を見て過ごしたりしてるんだ。
ファンション誌だったりするときもあったりするけれども、今日はタウン情報誌だった。
開いているページは、東京の街を特集しているページで、街のオシャレなパン屋さん特集だった。
「この中だったら、どのパンが美味しいと思う?せーので指さそう」
「いいよー。せーの」
私と
これ、楽しいんだよね。
「「せーのっ!」」
私と加奈は、雑誌を指さした。
少し小さめのパンで、中からチョコが少しだけ見えているパン。
外はカリカリしてそうな見た目で、黒色にチョコ。
見ているだけでよだれが出そう。
「おーっ! 揃った。パン・オ・ショコラ!」
「やっぱりこれだよね一」
加奈は目をつぶって口を動かして、想像に胸を膨らませている。
食いしん坊なのは私も一緒で、お昼ご飯を食べたばかりなのに、お腹がすいてきた。
「これ食べてみたいけれども、東京なんだよね。行けないよねー」
「私達には、遠い世界だよね。オシャレって、私達には手も届かないところにあるんだよね」
私と加奈は、想像をして楽しんでいたけれども。
現実に戻ると、肩を落とした。
「まぁ。夢を見るだけなら、自由だもんね。いつか一緒に行こう」
「いつか、そうしよう」
私は、うなだれながらページをめくる。
すると見たことがあるような名前が見えた。
私はそれを指さしながら、加奈に伝える。
「あれ? これって、もしかして学校の駅前じゃない?」
「そんなことあるわけないよ。この雑誌に載っているのはオシャレなところだけだよ? まさか載っているわけないよ」
怪しく思いながらも、よくよく読んでみると、やっぱり駅前だった。
「「いや、駅前だ!」」
加奈と二人で声が揃った。
「すごい、オシャレな雰囲気のお店だ」
「学校がある方向とは逆の改札口だね。こんなにオシャレな感じのお店があるんだ」
私と加奈は目を合わせて、頷いた。
二人とも思っていることは同じだった。
「今日さ、帰りにここに寄って帰ろう?」
「私も行きたいって思ってた。行こう行こう!」
オシャレなものが近くにあるって思うと、とても嬉しくなった。
私たちの街って、こんなにオシャレなんだね。
そこに簡単に行けるっていうところも、嬉しくて。
私は、午後の授業でどうにかお腹を空かせようって、考え始めてるよ。
チャイムが鳴ったので、タウン情報誌を閉じる。
加奈を見ると、加奈もきっと同じことを考えているみたいだった。
どうやったら、パンを美味しく食べれるかって考えているよ、きっと。
加奈は、口をあむあむと動かしていた。
こんな情報が知れるって、雑誌を読むって良いって思うよ。
今日の雑誌は、タウン情報誌。
私、タウン情報誌って好きだな。
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