携帯アプリ

 最近の私の趣味は、このアプリなんだよね。

 ゲーム内の仮想空間で、キャラクターを作って冒険をするゲームなんだ。

 それで、強いモンスターを倒すゲームなの。


 ギルドっていうところに所属して、チームを組んでゲームを進めていくんだよね。

 ギルドには、色んな人が集まっていて、現実では会ったことも無い人と一緒にゲームをやってたりするけれども、それも結構楽しいんだ。

 私もハマってて、ずっとやっているんだけれども、私以上にのめり込んでいる人がギルドにいるの。

『ミミちゃん』っていう、ウサギのキャラクターの子なんだけれども、すごくレベルが高いんだよね。


 クエストも、すごく先まで進んでたりして。

 一日の中で、どれだけやってるんだろうって感じ。

 真面目な学生の私には、考えられないかな。

 もしかして、授業中にでもやってるのかな?

 不真面目な気もするけれども、ちょっと憧れちゃうんだよな。

 強くて羨ましいんだよね。

 そう思いながらも、休日は私も同じくらいやっているからね。



 新規クエストのイベント通知が来たので、ウキウキでアプリを起動してみたら、私とミミちゃんだけしかいない状況だった。

 あらら。

 みんないないんだな。

 せっかく二人きりだから、ミミちゃんに話しかけてみようかな。

 チャットっていう機能があって、話しかけれるんですよね。


「初めまして、私はカナデって言います。ミミさんは、名前をよく見かけています。お強いですよね」


 雑談っぽくなっちゃったけど。

 二人きりだし、いいかなーって。

 そうしたら、すぐに返事がきた。


「初めまして。ミミです。カナデさんもよく見かけますよ。すごく上手いなって、プレイを参考にしていたりします」


 わー……。

 ミミさん、私の事を知っててくれたんだ。

 その事実を初めて知ったので、なんだか嬉しくなってしまった。


「ミミさんの方が上手いですよ。私尊敬しているんです」

「いえいえ、カナデさんの方こそですよ」


 ふふ。

 二人ともお互いを良いと思っていたんだ。

 ミミさんっていい人っぽいなー。



 そんなやりとりを何回していても、誰もクエストに入ってこなかった。

 ミミさんとの話も楽しいけれども、早くイベントを始めたいな一。


「誰も来ないですね」

「じゃあ、二人で行っちゃいます?」


 ミミさんが提案してきた。

 二人でクエストなんて、普通だったたら結構無謀だって思うんだけれども、ミミさんは強気だった。


「私と、力ナデさんなら、絶対クリアできますよ!」


 そう言って、ミミさんのキャラクターがカッコよくポーズを決めた。

 ミミさんの言葉が力強く感じた。


「なるほどですね。じゃあ、行っちゃいましょうか! ‌私もミミさんとなら、出来そうな気がします!」


 私も、自分のキャラクターにカッコよくポーズを決めさせた。


「じゃあ決まりだね!」

「行きましょー!」



 顔も知らない見ず知らずの人だったとしても、長い時間を過ごした人だもん。

 ミミさんとなら、何でもできそう。



 これで、新しいイベントが始まるね!


 ふふふ。

 ワクワクする。


 携帯アプリって楽しいね。

 私、好きなんだ。

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